マイナスになった実質賃金の参考値、政府与党が「当面公表しない」方向で調整

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厚労省の統計不正は与野党を挙げて究明すべき大問題のはずですが、なんとも不思議な対応が行われているようです。詳細は以下から。

◆与野党共に問題視する厚労省の統計不正問題
現在国会で大きな問題となっている厚労省の毎月勤労統計における統計不正。国の重要な基幹統計で不正が行なわれるという未曾有の事態であり、アベノミクスの成否にも関わる実質賃金の伸び率にも影響を及ぼすなど、その影響は計り知れません。

野党はもちろんこの問題を激しく追求していますが、自民党の小泉進次郎議員も毎月勤労統計は危機管理上アウト、ガバナンス面でも欠如している。賃金構造基本統計については組織の隠蔽体質の表れだと厚労省の隠蔽体質を厳しく指摘。

これに根本厚労相も「私も厚労省改革が必要性だと思っています」と答弁するなど、与野党を問わず厚労省の体質と問題の経緯の徹底究明と改革が必須だと認識していると思われていました。

ですが、なぜか政府がこの問題の根幹に関わる実質賃金の参考値を、少なくとも当面は公表しない方向で調整に入っていることを毎日新聞が報じました。

◆「実質賃金の参考値」を公開しないのはなぜ?
厚労省は2018年1月に、毎月勤労統計で調査対象事業所のうちで大企業の比率を増やし、中小企業を減らす形のデータ補正を行っていました。しかし日本で働く人の7割は中小企業勤めであり、統計委員会からも「実態を表していない」と指摘されていました。

厚労省はこの補正されたデータを前年のものと比較していたため、賃金の伸び率は実際よりも高く算出されていました。

野党は独自試算に基づいて2018年1~11月の実質賃金の伸び率がマイナスになったことを示し、根本厚労相も2月5日の衆院予算委員会で「機械的な計算という前提の限りでは(野党の)おっしゃる通りだと思う」とマイナスを認めています。


しかし厚労省はデータ補正で入れ替わらなかった事業所のみで比較した名目賃金の「参考値」は示したものの、実質賃金の参考値は公表していません。

野党は実質賃金についても再集計して公表するよう求めていましたが、根本厚労相は「再集計するのは困難」と公表に消極的な姿勢を崩しませんでした。

小泉進次郎議員も指摘するように、これは厚労省の危機管理やガバナンスの極めて重大な問題。与野党に関わらず、綿密な調査を行って再発防止に努めなければならないはずのものです。

毎日新聞は記事の中で「政府が公表をためらうのは、野党が『アベノミクス偽装』と追及する根拠を公式に認めることを回避する狙いもあるとみられる」と指摘していますが、公表を拒否し続ければ、政府が問題解決よりも追及の回避を優先しているという疑念が膨らむことになってしまいそうです。

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