【追記あり】「共産党の市長はNO、有名人も多数賛同」京都市長選で現職陣営が新聞広告→9人中8人の名前の無断使用が発覚

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京都市長選の真っただ中の1月26日に京都新聞に掲載された「大切な京都に共産党の市長は「NO」」とする全面広告がややこしいことになっています。詳細は以下から。

◆京都市長選で突如現れた全面広告が話題に
これが京都新聞1月26日(日)の6面に掲載された「未来の京都をつくる会」の広告。四条大橋から撮影された鴨川の風景をバックに、共産党を名指しで攻撃する文言が並んでいます。

大切な京都に共産党の市長は「NO」
京都はいま大きな岐路に立たされています。
わたしたちの京都を共産党による独善的な市政に陥らせてはいけません。
国や府との連携なしには京都の発展は望めません。

そしてその下には

いまこそONE TEAMで京都を創ろう!
「地下鉄延伸」「北陸新幹線延伸」「文化庁本格移転」
夢と希望に満ちた様々なプロジェクトも国と府との協力なしには実現できません!
市民のみなさまの多様な意見をしっかりと受け止めて国や府との強力な連携と
幅広い政党や団体との絆の下に確かな京都の未来を築いていけるひとはただひとり。

と書かれており、右側には現職で再選を目指す門川大作候補の写真と名前が掲載されています。

(クリックして拡大)

「未来の京都をつくる会」はこの門川市長を応援する確認団体であり、Facebookでも言及されています。


また門川大作オフィシャルサイトの政策ページでは「未来の京都をつくる会」が作成した冊子が掲載されています。

つまり現役市長の確認団体が、候補者でもある市長の写真と共に特定政党を攻撃しているわけです。

◆「共産党の市長はNO」広告の背景、国政と異なる野党のスタンスも
ざっと京都市政の状況を説明しておくと、京都ではかつて蜷川虎三府知事をはじめ、共産党系の勢いが強い時代が長く続いていました。その経緯から、現在も京都市議会では共産党系の会派が自民党系に次いで第2位の勢力を持っています。

これにより「共産党系とそれ以外」という対立構造が現在までも続いており、首長選挙では自公与党と旧民主党系に社民党までが相乗りで候補を推すという状況があります。

門川市長はそうした与野党相乗り候補として3期に渡って市長を務めてきました。このように京都の政治事情は国政とは大きく異なっていることに注意が必要です。

しかし野党各党が国政で共闘を打ち出しているのも事実であり、この広告に国民民主党京都府連や立憲民主党京都府連、社民党京都府連が名前を連ねている事への批判も出ています。

◆そもそも「共産党の市長」は生まれません
まず、今回の京都市長選に共産党の候補は出馬していません。つまり、京都市長選で誰を選ぼうと「共産党の市長」は生まれないということ。

今回の市長選に出馬しているのは、自民公明立憲国民社民が与野党相乗りで推薦する現職の門川大作候補、共産とれいわ新選組が推薦する福山和人候補に加え、第3極となる地域政党の京都党前代表で政党からの推薦を受けない村山祥栄候補の3人。

この中で広告が攻撃するターゲットに近いのは福山和人候補ですが、共産党の推薦を受けることと共産党の公認候補であることはまったく別物であるため、広告の内容は完全なデマとなります。

これは共産党を含む野党統一候補だった玉城デニー沖縄県知事を「共産党の知事」と呼ばないことを考えれば当たり前の話。

加えて、大きなミスリードとなるのはこの「未来の京都をつくる会」の広告と門川候補の広告、さらに下部のACの広告が別枠だということ。つまりこうなっています。


これにより、門川候補自らが共産党を狙い撃ちで攻撃したのではなく、あくまで確認団体の広告で候補自身は無関係だとの体裁を整えようとした苦労が見て取れます。

ただし残念ながら選挙期間中である上、広告内で「確かな京都の未来を築いていけるひとはただひとり」と門川候補の写真を並べて力説しているため、この説明はかなり苦しいものとなりそうです。

◆有名人の名前を無断使用
さて、3期の実績を持つ現役市長が成果をアピールする代わりに対立候補を特定政党と一緒くたにして攻撃というのはなかなかイケズなやり口ですが、最大の問題はこの広告に名を連ねた有名人の一部が名前を無断使用されていたというところにあります。

広告に名前が連ねられている日本画家で京都造形芸術大学大学院教授の千住博氏は自らの公式サイトで以下のように緊急声明を発表し、名前を無断で使われたとしています。

緊急:京都新聞の広告について
January 27
1月26日(日曜日)付の京都新聞の選挙広告について。

千住博は京都造形芸術大学学長当時に候補者を応援してきた経緯から、今回も推薦者として名前を連ねてきておりました。ですが、千住はアーティストとして、意見の多様性や、議論の必要性を大切にしています。今回のような、ある特定の党を排他するようなネガティブキャンペーンには反対です。

まるで千住博がこの様な活動に同意しているような意見広告に、千住の許可なく無断で掲載されたことを大変遺憾に思います。

News - Hiroshi Senju Studioより引用)

また千住博氏の知人でもある精神科医の香山リカ氏は、この広告に名前の出ている9人の有名人のうち、千住氏を含む4人が名前を無断で使用されていることを確認したとツイート。


現時点では千住博氏以外から本件への公式コメントは出されていないものの、ネット上では独自にSNSなどで連絡を取って確認したとする報告も上がっています。

つまり選挙期間中に候補者である現職市長が地元紙にデマ情報を含んだ広告を流し、千住博氏が賛同しているかのように名前を無断使用したことは少なくとも確定しているわけです。

もし他の人々も名前を無断使用されていたのであれば、門川陣営は有権者たちに説明を迫られることとなりそうです。

【1/30追記】
結局この広告に名前を出すことを了承していたのは「未来の京都をつくる会」の会長である立石義雄氏のみで、他の8人は無断使用だったことが京都新聞の「京都市長選で「共産党NO」広告 推薦人「事前に内容知らぬ」、現職側選挙母体「了承得ている」」という記事内で明らかにされました。

西脇隆俊京都府知事や有馬頼底臨済宗相国寺派管長は「事前に知らなかった」としており、映画監督の中島貞夫氏は「推薦人は了承していたが、広告の掲載や文言は聞いていない。共産党だからNOだとか排除するような考え方は間違い。きちんと政策を訴えないと逆効果」と指摘しています。

加えて社会民主党京都府連合もFacebookページで声明を発表。「政策を訴えるのではなく、レッテル貼りで自由な議論を封じ込める手法」と厳しく批判しています。


一方で、自民党府連幹事長の吉井章事務長は「あらゆる広告物に推薦人の名前と写真を使用することは事前に了承を得ている。個別の広告物についての掲載確認は以前からしていない。ただ、推薦人にご迷惑をおかけしたとするなら本意ではない」と説明しています。

そして福山和人陣営はこの広告へのアンサーとして、1月30日の京都新聞に「大切な京都だからすべての市民の声を聴く市長に「YES」」とした全面広告を掲載しました。



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