北方領土が事実上「消滅」、領土割譲の禁止を明記したロシア新憲法が承認

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「我が国固有の領土」である北方領土が返還される見込みが事実上消滅しました。詳細は以下から。

ロシアで「領土割譲の禁止」を明記した憲法改正が承認されました。

新憲法には隣国との国境画定を除き、領土割譲に向けた行為や呼び掛けを容認せずとの条文が盛り込まれており、実質的に北方領土の返還交渉への扉が閉ざされました。

日本政府はこれまで平和条約締結後の歯舞、色丹両島の引き渡しを明記した1956年の日ソ共同宣言を基礎に交渉。自民党政権は北方領土の全島返還を前提とし、その帰属問題が解決しない限り平和条約の締結はないという姿勢で臨んできました。

特に安倍政権はプーチン大統領と26回の首脳会談を行い、3000億円の経済援助を行うなど、積極的にこの問題に注力してきました。

ですがそうした中で安倍首相は2018年9月、東方経済フォーラムでのプーチン大統領との共同記者会見で「平和条約が締結されていない異常な戦後を私と大統領の手で終わらせる」と発言。

これにプーチン大統領はまず平和条約を結ぼう。今すぐにとは言わないが、ことしの年末までに無条件でと応答。続いて「その後、この平和条約をもとに、友人として、すべての係争中の問題について話し合いを続けよう」と述べています。

これを飲むと自民党政権が掲げ続けてきた日本の立場が全て180度覆されることになり、結果的に平和条約の締結もなく、その後北方領土問題は実質的に頓挫していました。

2018年12月に河野外相がこの北方領土問題について質問され、「次の質問どうぞ」と4回連続で無視した珍事を覚えている方も多いのではないでしょうか。


ロシア側は日本との交渉で、北方四島について「第2次世界大戦の結果、ロシア領になった」と認めるよう要求し続けていました。新憲法には第2次大戦の旧ソ連の勝利に関し「矮小化を許さない」とも記されており、ここにロシア側に北方領土を返還しない強い意志を見て取ることができます。

外務省は「領土交渉は既に始まっており、改憲の影響は一切ない」との立場を示し、別の政府関係者も「条文はウクライナやクリミア半島を指しており、日本とは関係ない」としていますが、ロシア側がこうした主張を受け入れる可能性は絶望的です。

菅義偉官房長官もロシア改憲を受けた7月2日の記者会見で「領土問題を解決して平和条約を締結するという基本的な考え方の下、引き続き粘り強く取り組みたい」と従来の立場を繰り返すにとどまっています。

ただし実際のところは、2019年版外交青書の時点で「北方四島は日本に帰属する」との文言が消滅

2018年版にあった「未来志向の発想により、平和条約の締結を実現する」との目標も「問題を解決して平和条約を締結」とトーンダウン。日本の法的立場に関する説明も回避していました。

「外交の安倍」が鳴り物入りで推し進めていた北方領土返還交渉ですが、実際にはすでに尻すぼみとなっており、今回の改憲で返還の可能性が事実上消滅したと言わざるを得ない状況です。

【14:50追記】
ロシア上院の国防安全保障委員会の前・第1副委員長が「(日本との)領土交渉は終わった」と発言しています。

ロシア上院・国防安全保障委員会のフランツ・クリンツェビッチ前・第1副委員長が現地時間7月2日、憲法改正を受けてコメントを発表。北方領土交渉について領土交渉は終わった。今後10年、20年、100年、誰が権力を握っても、誰もこの交渉のテーブルに戻ることはできない。ロシア国民はそれを許さないと発言しました。

どう考えてもロシアが北方領土の返還交渉に応じる見込みはなさそうです。

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