【ファクトチェック】「大阪は感染抑えすぎたから変異株が急拡大」吉村知事が飛びついた珍説は正しいのか

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イソジン以来となる珍説を大阪府の吉村知事が採用しようとしています。

「感染を抑えすぎたから変異株が急拡大した」という、下手をすれば「感染は抑えすぎないほうがよい」と誤解される可能性もあるこの発言、ファクトチェックしてみます。

◆吉村知事の問題のツイート
まず、問題となっている吉村知事のツイートがこちら。



緊急事態宣言で大阪は感染を抑えすぎた、結果、変異株が既存株にとって変わる速度が早まり、変異株が急拡大してる」という謎の説について、「逆説的でえっ?と思うが真実をついてるかもしれない脇田説がストンとくる。要注意だ」とツイートしています。

大阪では現在「まん防」が適用されるほど感染が急拡大しており、4月1日には過去4番麺となる616人が新規感染。2度目の緊急事態宣言が2月末に解除されてからでは最多です。

そうした中で、大阪府の首長が急拡大の原因を「感染を抑えすぎた」とする説に飛びついた構図になっています。

◆そもそもそんな説なのか?
吉村知事が言及しているのは4月1日のNEWS23での専門家会議、脇田座長のコメント。この説に関してはTBSが動画をツイッターに掲載しています。


該当部分を文字起こししてみます。

前回の緊急事態宣言で、東京は感染者数が下げ止まった一方、大阪、兵庫ではかなり抑えることに成功しました。その状態で変異ウイルスが侵入。再び感染が拡大する際、大阪などでは変異ウイルスが優先的に増えていきます。一方、東京は通常のウイルスがかなり残っていたため、変異ウイルスがあまり広がらなかったというのです。

ということで、NEWS23では「大阪、兵庫ではかなり抑えることに成功しました」としているものの、「感染を抑えすぎた」とは一言も言っておらず、吉村知事の独自解釈であることが分かります。

なおこの説自体も1人のコメントに過ぎず、検証されていません。例えば東京の昭和大学病院の自主検査では感染者数の半数が変異株との結果が出ていることをFNNが報じています。

また変異株かを調べる検査も、兵庫県では6割超えながら東京では1割に過ぎないのが現状。つまり変異株検査の段階から基準が揃っておらず、単純比較ができない状態にあります。

◆そもそも大阪は本当に「感染を抑えすぎた」のか
吉村知事は2月の早い段階から緊急事態宣言の早期解除を求めており、結果2月末に解除となりました。

吉村知事はその際の大阪の感染者を「1日約50人」としていますが、これは第1波の全盛期の数字と大差なく「感染を抑えすぎた」と呼べるものではありません。


【大阪府】新型コロナウイルス感染者数・死者数の推移・累計グラフ:最新ニュース-NHKより引用)

なお吉村知事はツイートの中で「春休みに入り、年度替わりに入り、3月中旬頃から急激に若い世代の活動が活発になり、飲み会、コンパ、歓送迎会等の機会が圧倒的に増え、ここ1週間の感染急拡大に繋がっている」という説にも触れています。

春休みや年度替わりは当然人出が増えるもので、「1日約50人」の状態で2月末に宣言解除すれば、3月21日解除の首都圏よりも大幅に感染増となるのはなんら不思議ではありません。

◆誤解を招く危険なミスリード
まとめると、「大阪は感染抑えすぎたから変異株が急拡大」はそもそもの前提が正確といえない上に吉村知事が独自解釈を施した、極めてふわふわした「見解」ということになります。

加えて大阪が「感染を抑えすぎた」とも言える状況でもなく、春休みや年度替わりという例年人出が予想される時期に敢えて解除した当然の結果として急拡大が起こっています。

吉村知事のツイートは解除タイミングのミスの責任逃れと指摘されてもおかしくないものですが、それ以上に「変異株が増えてしまうから、あまり感染は抑えすぎないほうがよい」との誤解を招きかねない危険なミスリードとなっています。

一般人ならぬコロナ対策を含めた大阪府の行政を担うトップとしては、イソジン以来の極めて不用意な発言と言わざるを得ません。

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