わずか2日で2億8000万円の資金を調達、蜜蜂にストレスを与えずに蜂蜜を自動採取できる常識破りの巣箱「Flow Hive」

養蜂の常識を覆してしまいそうな巣箱が発明されました。詳細は以下から。


1万年前、人類がまだ洞窟に住んでいた頃から食べてきた伝統的な食材、それが蜂蜜です。自然界に存在する最も甘い食べ物として紀元前から西洋、東洋を問わず神話や記録に蜂蜜は登場しており、現代においてもお菓子はもちろん料理の味付けやドリンクなどに世界中で使われています。

蜜蜂が蜂蜜を集める際に植物を受粉させることから、現代の農業においても非常に重要な役割を担っており、もし蜜蜂が絶滅すれば世界中の農業と食糧事情に深刻な打撃を与える可能性もあるとされているほどです。

しかし、美味しい蜂蜜を作る養蜂の仕事は危険なハードワークでもあります。蜂に刺されるリスクはもちろんのこと、重い蜂の巣を運んで蜂蜜を取り出すのも重労働です。

そしてこの仕事、もちろん当の蜜蜂にとっても負担が少なくありません。蜂蜜の採取の時に煙などで燻されて追い払われるなど、ただ蜜を集めているだけでは済みません。

しかしもっといい方法があるはずだと考えたのがオーストラリアの養蜂家のStuart Andersonさんと息子のCedarさん。彼らの作ったFlow Hiveは蜂の巣を壊すことなく、ミツバチにストレスを与えずにそのまま瓶に詰めることのできる非常に優秀な蜂の巣箱です。

Honey On Tap From Your Own Beehive – Flow Hive Home

Flow Hiveはもともと巣箱が蜂の巣状に区切られており、蜜蜂はその区切りに合わせて蜜蝋を用いて巣を作って蜂蜜を溜め、終わると蓋をします。この巣箱は後ろ側が透明になっているため、蜜が満タンになり蓋が閉まった状態を確認することが可能。

そしていざ満タンになったら背面のコックをひねるとそこからとろ~りと蜂蜜が流れ出し、置いた瓶の中に注ぎ込まれていきます。この状態で既に食卓に並ぶ蜂蜜の状態になっているというから優れものです。

まず養蜂家が重い巣箱を収穫のために遠心分離器のところまで運ぶ必要がなくなり、それにまつわる多くの煩わしい作業が不要になります。更には蜜蝋を始めたとした不純物を取り除く手間もなくなるなど、重労働が一気に軽減されます。養蜂家からすると刺される危険性も減りますし、蜜蜂は一度刺すと死んでしまうので、そうしたロスも避けられます。
養蜂家は従来の巣箱をこのFlow Hiveに置き換えるだけで簡単に導入できるということで、手間やお金をかけずに蜜蜂とウィンウィンの関係になれるというのは非常に画期的。

Flow Hive Full Reveal – YouTube

マイクロファンディングサイトIndiegogoにて資金の募集が始まっているのですが、なんと2月22日に開始されてから2日弱で目標額70000ドル(約840万円)のところ、33倍以上の235万ドル(約2億8000万円)を集めてしまうというとんでもない人気商品となっています。

基本的には養蜂家向けの商品とはなりますが、送料別600ドル(約72000円)で蜜蜂以外のフルセットを購入できるため、趣味で養蜂を始めてみたいという人のためのスターターキットとしても十分魅力的です。

Flow Hive Honey on Tap Directly From Your Beehive Indiegogo

なお、日本で養蜂をする場合には、趣味としてであっても2013年の養蜂振興法の改正により届出の義務が発生しているので注意してください。

養蜂振興法(改正後) – 農林水産省(pdf)

Honey on Tap A New Beehive that Automatically Extracts Honey without Disturbing Bees Colossal

紀伊國屋書店 (2012-07-28)
売り上げランキング: 31,685

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