ソフトバンクが「モバイルブロードバンドでアメリカを変える」と講演、国内外で主張が異なる事態に

スプリントを足かがりにT-Mobileを買収することでVerizon・AT&Tに並ぶアメリカ3大キャリアを目指すソフトバンクですが、ワシントンで行われた講演会の資料が面白いことになっています。


これがその資料。登壇したのは孫正義社長です。

内容は主にモバイルブロードバンドに関するもの。スマートフォンやタブレットが今後パソコンをさらに圧倒する勢いで普及するとみられているのに対して……

アメリカはモバイルブロードバンドで遅れを取っている状態に。

それはLTE通信速度を比較しても一目瞭然。なんとアメリカはソフトバンク(21.3Mbps)の3分の1以下となる6.5Mbps。ちなみに日本は11.8Mbpsですが、仮に3社平均の数字とするならば、NTTドコモやKDDIは10Mbpsどころか数Mbpsということになると思われます。

続いて問題となるのがアメリカのARPU(加入者1人あたりの収入)の高さ。アメリカは52ドルと、日本(44ドル)と比較しても非常に高いのが分かります。

ちなみにスマフォやタブレット1台あたりのデータ通信量は日本が1.5GBなのに対し、アメリカは1.0GB。

にもかかわらず1GBあたりの単価はアメリカが52ドルと、非常に高いのが現状。日本は30ドルとされていますが、携帯各社の7GB定額プランすら基本使用料・定額料金込みで70ドル程度のはずです。

世界的に見てもアメリカのみARPUが上昇しています。

そこでソフトバンクは「ネットワーク」と「価格」を武器にアメリカ市場に持ち込むビジョンを提示

有線ブロードバンドはソフトバンクとNTTによって価格・速度が世界1位になったと主張しています。

また、前述のようにLTEの速度も3倍以上ソフトバンクのほうが高速。

ソフトバンクは価格競争をもたらし、日本で一番ARPUを引き下げてきたプライスリーダーだと主張しています。

しかし、2月に行われたソフトバンクの決算説明会では他社のARPUが落ち込む中、ソフトバンクは順調にARPUを維持していると言わんばかりのグラフを提示。これではプライスリーダーがauということになりますが、国内外で主張する内容や数字が異なるのはどういうことなのでしょうか。

また、アメリカでは有線ブロードバンドが高く、選択肢が少ないと主張。

2.5GHz帯を用いたTD-LTEによって下り最大200Mbpsにまで達するため、新たな有線ブロードバンドの競争者となりうるとしています。

「アメリカはモバイルブロードバンドでリーダーシップを再び得ることができるのか?」という問いに対し、「Yes, We Can」と述べています。

スマホやタブレットでの通信量が少なく、通信料も高額、そして有線ブロードバンドの選択肢も少ないアメリカに安くて高速なモバイルブロードバンドを……という、非常に魅力的な内容に聞こえるソフトバンクの主張。

一方で国内を振り返ってみれば、ソフトバンクのLTEは『3日間で1GB』を少しでも超過するとありえない速度にまで落とされる上、高速通信をうたうAXGPも同じ周波数を使うWiMAXとは異なり、転送量無制限サービスが提供されないなど、「いろいろ制限のあるモバイルブロードバンド」なのが現状です。

極めつけが新たに導入される新料金プラン。通常契約では青天井で課金されるなど、「ネットワークの公平利用」を口実に、ユーザーに厳しい仕組みを相次いで導入しています。

国土の広さもあって日本のようなレンタルビデオ店を利用する文化はすでになく、iTunes StoreやHulu、Netflixといった動画配信サービスが普及しているアメリカ。少なくとも日本国内で展開しているようなサービス内容では到底有線ブロードバンドの代替となり得ません。

ソフトバンクが具体的にどのようなサービスを打ち出すつもりなのかは気になるところですが、もしアメリカで制限の少ないモバイルブロードバンドを提供する一方で、日本国内では現状の制限を維持するというスタンスならば、それはとても不公平なことではないでしょうか。

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