携帯各社のMNP優遇で長期利用者は養分に、唯一の対抗策が「コジ割」な現状は健全なのか

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携帯各社が火花を散らす春商戦。

番号そのままで会社を乗り換えられる「MNP(モバイルナンバーポータビリティ)」利用者を対象に、怒濤の割引ラッシュが展開されていますが、同じ携帯電話会社を長期間利用することがどれだけ馬鹿馬鹿しいのかを調べてみました。

◆どうしてMNPが優遇されるのか
携帯電話販売店などを見ていると、MNPに対して手厚い割引が提供されていることに対し、疑問を覚えた人も少なくないはず。そこでMNPがどうして優遇されるのかを説明してみます。

・すでに「携帯電話契約数>日本の総人口」
まず確認しておきたいのが、2014年2月末時点での携帯電話契約数。

NTTドコモ・KDDI・ソフトバンクモバイルの大手3社を組み合わせた数字は約1億3789万契約と、日本の総人口を上回っており、市場は飽和しているのが現状です。


・純粋な新規契約獲得よりユーザーを奪ったほうが早い
市場が飽和している以上、かつてのように携帯電話を使ったことがない純粋な新規ユーザーを獲得することは困難。しかし毎月の契約数増が各社を評価する指標として未だに用いられているため、携帯電話会社が契約獲得を諦めるわけにはいきません。

そこで携帯電話会社が活用するのが、ユーザーが電話番号そのままに会社を乗り換えられる「モバイルナンバーポータビリティ(MNP)」。下記のようにライバルを蹴落としつつ自社ユーザーを増やせるため、実質2回線分の契約を獲得したことになるわけです。

新規契約によるユーザー獲得:自社契約数+1
MNPによるユーザー獲得:自社契約数+1、他社契約数-1(差し引き+2)


つまり『契約数増加への貢献度』という観点で考えれば、「MNP>新規契約>機種変更」の順番で手厚くもてなされるのは、とても自然な話だと言えます。

◆値引き合戦の「iPhone 5s」、MNPと機種変更の月額料金を比べてみた
携帯電話市場が飽和してもなお純増数を競わないといけない以上、もはや仕方が無い感のあるMNP優遇。

携帯各社は現在、MNP利用者に対して基本使用料の割引に加え、廉価版のiPhone 5cではなく、ハイエンドモデルの「iPhone 5s(16GBモデル)」を本体一括0円で提供するようになっています。(写真:読者提供)


そこでBUZZAP編集部では3月上旬、都内の某大手家電量販店でMNP利用時と機種変更時の月額料金を調査してみました。

本体代込みの利用料金を比較したグラフ。MNPでは本体0円、基本使用料0円に加え、「月々サポート」による特別割引もあって月額3000円未満で利用可能。au・ソフトバンクは「auスマートバリュー」「スマホBB割」を使えば2000円を切ることも期待できます。


一方で基本使用料そのままな上、特別割引が分割払いの本体代と相殺されることもあって、機種変更ユーザーの月額料金は7000円前後に。同じ端末・同じサービス内容にもかかわらず料金差は実に2倍以上で、さらに店舗によってはMNP利用者にキャッシュバックまで行われるという徹底っぷり。

現状では機種変更で同じ携帯電話会社を契約し続けることは馬鹿馬鹿しく、自分たちを携帯電話会社にとっての「養分」と自嘲(じちょう)する長期契約ユーザーが生まれるのは無理からぬことです。

◆長期契約ユーザーが携帯電話会社に一矢報いる方法も
なお、携帯各社のMNP優遇に対し、長期契約者が唯一利用できる対抗手段があります。

それは各所で話題となっている「コジ割(乞食割引)」で、自分が契約している携帯電話会社のお客さま相談センターのMNP転出窓口に電話し、「機種変更したいが本体代が高いので、MNPで転出したい」という旨を伝えると、転出を引き止めるために機種変更用ポイントを発行してもらえるというもの。


もちろん正式な割引プランではなく、契約状況によってはポイントが発行されない場合もあるなど、対象となるユーザーもまちまち。「そもそも存在を知らない人でないと割引が受けられない」という、非常に不公平な内容ですが、一矢報いたいのであれば使うべきだと思われます。

◆MNP優遇が批判されるのは当たり前、総務省が動き始める事態に
上記のように長期契約しているはずの機種変更ユーザーと比較して、MNP利用者が過度に優遇されている昨今ですが、これでは利用者の間に「不公平」という意識が生まれるのは当然のこと。

MNP優遇の過度な一例。なんと最大100万円のキャッシュバックが提供されています。


このような事態を受け、通信分野の法制度を抜本的に見直すために開かれた総務省の有識者検討会では、MNPを用いたキャッシュバックや端末の無償提供による顧客獲得を問題視する意見が噴出。スマートフォンの料金や販売手法に新たな規制がかかる可能性が報じられる事態となりました。

◆携帯各社は長期割引を復活させるべきではないか
監督官庁の総務省が本格的に動き始めた場合、MNP優遇を自粛せざるを得なくなるとみられる携帯各社。

おそらく契約者増のための次の一手として、NTTドコモのように「仮想移動体事業者(MVNO)」に対して積極的に回線を提供するといったシフトを余儀なくされるとみられますが、同時に期待したいのが、既存の長期契約者に対する割引の見直し

契約すればいきなり基本使用料が半額になる2年縛りの基本プランが相次いで登場したことで、長期契約者向けの割引は事実上無くなったのが現状。このままではMNPで移転した先の携帯電話会社のサービスを気に入ったとしても、2年を超えて使い続けるのは困難です。


また、安価なMVNOへ顧客が流出すれば、携帯電話会社が通信料収入に続く収益の柱に据えようとしている、自社の決済サービスとひも付いたコンテンツ配信や通販などで稼げなくなる可能性も浮上することに。

これらの事情を総合的に加味すると、いずれ携帯各社には契約した年数に応じてパケット定額料を割り引くなど、長期契約者に対する施策を大きく見直す時期が訪れると考えられますが、いち早く踏み切るのはどの会社なのでしょうか。

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