ウルトラマラソンのランナー、ゴビ砂漠を共に100km以上走破した野良犬と生涯の友に

極限状態を共にした1人と1匹は種を超えた友情を育むに至りました。詳細は以下から。


7日間をかけてゴビ砂漠を250kmに渡って駆け抜ける4desertsの主催するウルトラマラソン「Gobi March」に参加したランナーのDion Leonardさん。彼が持って帰るのはメダルのはずでした。しかし、思いも掛けないことが起こったのです。

レーススタート前、出発点に設けられた選手用のキャンプ村でLeonardさんは辺りをうろつく野良犬がいることに気付きました。後にGobiと名付けられる18ヶ月のこの犬はレース開始後、選手たちを追いかけて荒れ果てたゴビ砂漠を走り出したのです。

レース2日目、GobiはLeonardさんについて走り始め、離れなくなりました。Leonardさんは後の取材に対して「この日私達が走り始めたらGobiは私のゲートルの明るい黄色が気に入ったみたいで、ずっと私の隣を走り続けたんだ。Gobiがキャンプ村に入ってくると、私に付いてテントに入ってきて隣で横になるんだ。そうやって絆が深まっていったんだ」と語っています。

Gobiは1週間の間の6つのステージのうち4つの125kmをLeonardさんと共に走りました。「Gobiは私よりも先に走って2~30m前で待っているんだ。私がGobiを追いかけて走った。あんなに小さいのにゴツい心臓を持ってるんだよ」。ですが、LeonardさんはGobiが独力で渡るには広すぎる川を渡る時、タイムロスになるにも関わらずGobiを両手で抱き上げて渡りました。Leonardさんはそうしなければならないことを理解していました。

Gobiがいったいどこからやってきたのか、知る人は誰もいませんでした。スタート地点のキャンプ村に一番近い村ですら5kmも離れており、誰も面倒を見ていないのに狂犬病を始めいかなる病気にも罹っていなかったのです。

「Gobiはレースの中で誰よりも有名だった。みんなブログに書き、メールで話し、レースの写真はGobiをスターにした。本当にレースのマスコットになったんだよ、選手たちと同じファイティングスピリットを持っていたからね」

Gobiは気温が52度にまで上昇するブラック・ゴビ砂漠を走破する第4ステージと第5ステージは過酷すぎるため一緒に走ることを許されず、サポート車に載せられました。しかし最終の第6ステージではGobiは大好きなLeonardさんと共に101人中第2位でゴールしたのです。

しかし、Leonardさんの銀メダルの喜びはGobiをスコットランドの自宅に連れて帰れないかもしれないという悲しい知らせに暗く陰ってしまいます。問題となったのは検疫でした。

Leonardさんにはそれでも強い絆で結ばれたGobiを置いて帰るという選択肢はありませんでした。Leonardさんは即座にクラウドファンディングサイトCrowdfunderで「Bring Gobi Home」というキャンペーンを立ち上げます。

医療ケア、検疫、そして輸送に掛かる5000ポンド(約67万円)をゴールとして寄付を募ったのですが、ものの24時間で300人から8600ポンドの寄付を得ることができました。現時点では513人から16250ポンド(約216万円)が集まっています。

Gobiは主催者の4desertsによってウルムチから北京に運ばれて検疫のために数ヶ月を過ごし、その後イギリスでも再び貿易と医療ケアのために時間を必要とします。GobiがスコットランドでLeonardさんと暮らせるようになるにはおよそ6ヶ月の期間が必要となります。

しかし、それもゴビ砂漠を共に走った1人と1匹の絆をもってすれば長い時間ではありません。再びGobiはLeonardさんと共にスコットランドで幸せに暮らすことになるでしょう。

Extreme Marathon Runner Adopts Stray Dog That Ran with Him through Gobi Desert _ Oddity Central – Collecting Oddities

岩本 能史
講談社
売り上げランキング: 174,488

・関連記事
【動画】犬に自撮り棒をもたせたらすばらしい躍動感の映像になりました | BUZZAP!(バザップ!)

愛情が生んだ発想の転換、視力を失った老犬のために飼い主家族が「犬用バンパー」を発明 | BUZZAP!(バザップ!)

なぜ人類は犬のつぶらな瞳に抗うことができないのか | BUZZAP!(バザップ!)

愛犬に結婚式のムービーを撮影してもらったら、この上なく素敵な作品になりました | BUZZAP!(バザップ!)

【天才現る】動物保護施設の老犬たちをプロが無料でグルーミング→引き取り手が増加 | BUZZAP!(バザップ!)

この記事をSNSでシェア

フォローまたはいいね!して最新情報を手に入れよう

海外 に関する人気記事

  1. 世界最大の動物愛護団体「PETA」の実態、保護された動物の9割が安楽死
  2. 子供にしか見ることのできない児童虐待防止ポスターが秀逸
  3. 「牢屋の壁をピンクに塗ると囚人の攻撃性が下がる」画期的なはずのアイディアがなぜか物議に
  4. AI開発は「神をつくる」こと、人類滅亡を元Google幹部が警告

海外 の最新記事