「NTT法」政府議論に対し通信事業者や地方自治体が意見表名、国民負担の『25兆円』インフラ独占や外資からの支配に懸念も
他の通信事業者が構築できない規模の通信インフラを所有するNTTの株が売却され、完全民営化が行われるとして議論されてきた「NTT法廃止」問題。
自由民主党から提言案が提出されたことを受けて、各社から再び意見が公開されました。詳細は以下から。
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KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルのプレスリリースによると、同社を含む電気通信事業者や地方自治体など181者は、本日12月4日に、NTT法の見直し議論に関して意見を表明したそうです。
これは12月1日に自由民主党のプロジェクトチームにより、NTT法に関する提言案が提出されたことを受けたもの。改めてNTT法廃止に反対を表明しつつ、これから慎重な議論が必要だとしました。
◆NTT法の成り立ち
そもそもNTTは、通信の自由化による競争を生み出すため、1985年に電電公社が民営化したことで誕生。
1988年にNTTデータ、1992年にNTTドコモ、1999年にグループ再編と分社化の議論が行われ、そのたびに料金の低廉化やサービスの多様化につながってきました。
その中で、電電公社時代に築いたインフラを提供することを「責務」とし、株式の1/3以上を政府が保有するよう義務づけるNTT法が制定されます。
つまりNTTは、30年の年月と25兆円(現在の紙幣価値で40兆円)もの費用をかけて国民の税金で構築された「特別な資産」と呼ばれるインフラを独占的に引き継いでいるのです。
具体的には東京ドーム約370個分の土地、約1190万本の電柱、約110万kmの光ファイバなど、競争事業者が構築できない規模の「国民の財産」です。
固定電話の加入権などの国民負担で築かれてきたインフラを、NTT法によって日本の各通信事業者に提供するよう「責務」として定めることで、さまざまなサービスが提供され公正な競争が成り立っているのです。
そうした中でNTT法が廃止されれば、公正競争が行われなくなり料金の高止まりやイノベーションの停滞、地方における防災や生活情報などのサービス衰退、さらに外資によるインフラ支配などのおそれもあります。
NTTの一体化や独占を防止し、国内のあらゆる利用者にサービスを行き届かせ、さらに外資規制によりインフラ資産を守るためにも、NTT法は維持されるべきだと述べています。
公正競争や、地方における通信サービスにも大きな影響を及ぼすもののため、大小様々な企業や国民の声を聞いて、公開討論などオープンな場で議論を重ねるべきだとしています。
◆Xでの公式アカウントの発言にも反論
また、NTT広報室のXへの投稿にも言及。具体的に以下の4点の主張に反論しています。
(1)国営時代の資産を持つ会社の民営化事例は他にもあること
(2)光ファイバーは民営化後に敷設したこと
(3)海外でも特殊会社法廃止時に会社が資産を引き継いだ例があること
(4)保有資産は最終的に株主に帰属すること
(1)NTTが引き継いだ資産は「局舎」「電柱」「管路」「とう道」など全ての通信事業者に必要不可欠な日本の共有財産で、他社と比較しても性質から規模までまったく異なるため同列に扱えないとしています。
(2)光ファイバーのみならず、電電公社から様々な資産を独占的に引き継いだことが問題で、さらに光ファイバーの敷設自体も資産なしでは行えないものと言えます。
(3)各国で競争原理が異なるため一概に言えないことに加え、海外の民営化された例においては国からの資産と会社との資本分離が行われているため、NTTも資産を国に返還する必要が生じることになります。
(4)公社からの資産はNTT東西が所有していますが、NTT東西の株はNTTが100%保有しており子会社化しているほか、「会社の財産は最終的に株主に帰属する」というのは会社解散時の話で、それ以外では当然会社が所有します。
これらに回答した上で、SNSや資料の上で見解を継続するより、公開討論などオープンな場で一堂に会し議論することを要望しています。
電電公社を民営化する際に「単に利益のみを追い求める巨大企業をつくることは、国民や市場の利益にならない」という視点から制定され、今なおその役割を果たしているNTT法。
25兆円におよぶ国民の財産を外資などから守ることは、あらゆる電気通信サービスやひいては国民生活を確保することにつながるため、企業はもとより国民の声を十分に聞いた上で慎重に議論されるべきでしょう。
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