競争相手の契約数を減らせた上、自分の契約数を増やすことができる「ナンバーポータビリティ(MNP)制度」での顧客獲得に携帯電話会社が血道を上げ、本体価格0円での提供やキャッシュバックが潤沢に行われる一方で、長期利用ユーザーに対する恩恵が薄い昨今ですが、ついに総務省が乗り出すことになりそうです。
◆NTTグループへの縛り、MNPの過度な優遇が法制度見直しの焦点に
総務省、NTT規制見直しに着手 携帯・固定セット割など :日本経済新聞
日本経済新聞社の報道によると、通信分野の法制度を抜本的に見直すために総務省が開いた有識者検討会の初会合において、携帯電話と固定回線のセット割引をNTTに認めるなど、独占規制の緩和を進めることの議論を開始したそうです。
これは元国営企業のNTTに対しては独占規制の影響でさまざまな制約が課されている一方で、NTTドコモのシェアがPHSを含む携帯電話市場において41%にまで落ち込むなど、市場支配が薄れていることを受けたもの。
すでに競合するKDDIやソフトバンクはスマートフォンと固定電話、インターネット回線を一括契約すると通信料の割引を受けられるサービスを展開中。固定回線まで併せて契約させることで、ユーザーの囲い込みを進めています。
また、会合においては横並びで高止まりする携帯3社のスマートフォン通信料に「多様な料金メニューが必要だ」という意見が出ており、MNPを用いたキャッシュバックや端末の無償提供による顧客獲得を問題視する意見も多かったとのこと。これによりスマートフォンの料金や販売手法に新たな規制がかかる可能性もあるとされています。
◆MNP優遇だけでなく、過度なセット販売も問題ではないか
NTTドコモのiPhone参入で大手3社のMNP獲得合戦がより一層加速した感のある昨今ですが、もう一つ気になるのが、MNPユーザー向けにスマートフォンを格安販売する際に行われる、通信モジュールを搭載した子ども向け携帯電話やフォトフレーム、GPS端末、体重計などの通信機能付き周辺機器の過度なセット販売。
割引の条件として、そして「2年間基本料無料だから」などと薦められるケースが多くあると思われますが、実態は携帯電話会社の純増数上積みや、「契約した台数×1万円」というように、幾重にも違約金を積み重ねることで2年以内の解約を防ぐためのものという側面が強いのも現状です。
さらにこれらの機器を2年後の契約更新月に解約し忘れた場合、月額基本使用料が課金され始める上、解約しようにも前述の違約金が発生するという、思わぬ落とし穴もあるため、MNPの優遇だけでなく、そのような顧客の縛り方についても何らかの検討が行われるべきではないでしょうか。
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