NTTドコモ、大災害時に電話やメールがつながりやすくなる技術を開発へ

2011年3月11日に発生した東日本大震災をはじめとして、災害が発生した際に通話・通信の混雑が発生し、携帯電話がつながりにくくなるという事態が見受けられますが、NTTドコモが抜本的な対策に乗り出すことが明らかになりました。

詳細は以下から。

ドコモ、NECなどと共同で災害時の通信混雑を解消する技術を開発:日刊工業新聞

日刊工業新聞社の報道によると、NTTドコモおよびNEC、富士通、東北大学、日立東日本ソリューションズは共同で、災害時に通信の混雑を解消する技術を開発するそうです。

開発を予定している技術は既存の通信ネットワーク上にクラウドコンピューティング基盤を構築し、音声やメール、動画の通信処理を柔軟に制御できるようにするというもの。従来は大規模災害時にネットワークが混雑し、音声通話は20回に1回、メールは4~5回に1回しかつながりませんでしたが、音声・メール共に4回に1回はつながるようになります。

なお、NTTドコモは第4世代携帯電話システム以降の導入を視野に入れており、2016年度に技術開発にめどをつけ、2019年度までの実用化を目指す予定。研究開発費は100~300億円程度とみられており、全国のネットワーク設備に導入する際の設備投資額は数千億円規模になる可能性があるとされています。

クラウドコンピューティング基盤でメールや動画だけでなく、音声通話も制御するということですが、これは日刊工業新聞社がNTTドコモが商用化する予定であると2月に報じた、音声を圧縮したデータを分割し、パケット通信でリアルタイムに送受信することで実現する「VoIP技術」を用いた「ボイス・オーバー・LTE(VoLTE)」を利用した音声通話サービスの導入が前提にあると考えられます。

ちなみに災害時には通信網の混雑だけでなく、「津波で流される」「基幹回線が切断」「電力供給が止まる」などの理由で基地局設備が利用できなくなる場合もあり、岩手県のテレビ局「めんこいテレビ」が2011年3月18日に公式ページに掲載した以下の内容のように、全域で利用できないキャリアすら発生することがあるのも現状。

【携帯電話サービス状況】 (2011.3.18掲載)
■陸前高田市:ドコモ一部不可 AU一部不可 ソフトバンク全域不可
■大船渡市:ドコモ一部不可 AU一部不可 ソフトバンク全域不可
■釜石市:ドコモ一部不可 AU一部不可 ソフトバンク全域不可
■宮古市:ドコモ一部不可 AU一部不可 ソフトバンク全域不可
■大槌町:ドコモ全域不可 AU全域不可 ソフトバンク全域不可
■山田町:ドコモ全域不可 AU一部不可 ソフトバンク全域不可
■田野畑村:ドコモ一部不可 AU一部不可 ソフトバンク全域不可
■岩泉町:ドコモ一部不可 AU一部不可 ソフトバンク全域不可
■普代村:ドコモ一部不可 AU一部不可 ソフトバンク全域不可
■野田村:ドコモ全域利用可 AU全域利用可 ソフトバンク全域不可
■久慈市:ドコモ全域利用可 AU全域利用可 ソフトバンク一部不可
■洋野町:ドコモ全域利用可 AU全域利用可 ソフトバンク全域利用可

しかしNTTドコモは通常の基地局とは別に、広域災害・停電時に人口密集地の通信を確保するため、無停電化、伝送路2ルート化によって信頼性を確保した半径約7km、360度のエリアをカバーする災害時専用の基地局「大ゾーン基地局」を昨年秋から日本各地に設置しています。

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