ソフトバンクの基地局、18万局の半数近くはフェムトセルを含めた小規模なものであることが判明



先日、総務省公式ページに掲載されているソフトバンクモバイルの基地局免許数が急減していることを受け、同社が1月に回答した内容から、実に5万局以上がフェムトセルであった計算になることをお伝えしましたが、その詳細が明らかになりました。



◆ソフトバンクモバイルの基地局免許数が5万局以上の急減、広報部は「フェムトセルの包括免許化によるもの」と回答
今回の問題の発端。総務省総合通信基盤局の「無線局情報検索」より得られる情報をベースに、携帯電話・PHS各社の基地局免許数をカウントしている「携帯・PHS関連@Wiki」に掲載されているデータ。ソフトバンクモバイルが3Gサービスに利用している2GHz帯基地局の免許数は2011年8月20日時点で13万3591局でしたが……


2012年2月25日時点のデータでは8万1253局と、5万局以上も減っていることになっていました。


このように基地局の免許数が減少している事態について、今年1月にBUZZAP編集部でソフトバンクモバイル広報部に問い合わせたところ、「フェムトセルは現在、個別免許ではなく包括免許となっております。弊社では、包括免許への切り替えを順次行っているため、このHPの表記上は数が減少しておりますが、実際の基地局が減少している訳ではありません」という回答でした。

つまり基地局の免許数が減少しているように見えたのは、フェムトセル(主に屋内や地下で用いられる、半径数十メートルの狭い範囲をカバーする小型基地局)が包括免許に切り替わったためで、基地局の数自体は減っていないということですが、逆に言えば実に5万局以上の基地局がフェムトセルであったことになるわけです。

◆宮川氏が基地局数表記について解説
この件について、ソフトバンクモバイル取締役専務執行役員CTO(最高技術責任者)で、ソフトバンクBBやソフトバンクテレコムなども兼務している宮川潤一氏が、同社の基地局数表記について自身のTwitterで解説を行いました。

まず宮川氏は総務省総合通信基盤局の「無線局情報検索」に掲載されている同社の基地局免許数が2GHz帯のものだけでも5万局近く減ったように見えることについて、包括免許制度の導入で100mw以下の一部屋内基地局が総務省免許検索で対象外になったためで、実際の基地局数は変わりが無いことを説明。

Twitter / @miyakawa11: 100mw以下の一部屋内基地局は包括免許制度の導入に ...

100mw以下の一部屋内基地局は包括免許制度の導入により総務省免許検索で対象外になりました。減った様に見えますが、実際の局も弊社HP公表値も変りありません。ホームアンテナも別です。


Twitter / @miyakawa11: そして当社SBMの場合はこれ以外にインドア基地局があ ...

そして当社SBMの場合はこれ以外にインドア基地局がありますが、その内の100mW以下の室内等に設置する防護指針上影響のない基地局については、昨年3月に基地局の包括免許制度の導入により、総務省の無線局免許検索での検索対象外となっています。


「100mW以下」という数字は、総務省が示す人体に影響を及ぼさない電波の強さの指針値ですが、屋内などに設置する「インドア基地局」は屋外局との干渉や人体との距離の近さへの配慮から、通常は一般的な無線LAN(10mW)以下となる数mWで運用しているとのこと。

Twitter / @miyakawa11: ちなみに防護指針(電波防護指針)とは、総務省が示す人 ...

ちなみに防護指針(電波防護指針)とは、総務省が示す人体に影響を及ぼさない電波の強さの指針値です。100mW以下の室内等に設置する基地局の電波は、この人体に影響を及ぼさない電波の強さに適合したものです。通常インドア基地局は数mWで運用しています。


Twitter / @miyakawa11: 何故?数mWでの運用かと申しますと、屋外局への干渉へ ...

何故?数mWでの運用かと申しますと、屋外局への干渉への配慮や、アンテナと人体との距離が近いためのルールに基づいております。そこで、このインドア基地局の種類について説明をしなければ皆様の解にはならないのですが、ちょっと説明が長くなります。


また、インドア基地局には家庭用のフェムトセルと同じ筐体であるものの、接続能力を屋外用基地局レベルにまで上げているものや20mW~100mWまで調整できるものなど、さまざまなものがあると解説。屋内の基地局は「出力が大きければいい」というものではなく、特に飲食店などのスポット対策用基地局は防護指針上、大半が10mW以下であるとしています。

Twitter / @miyakawa11: インドア基地局は種類が多くて、小さいものは家庭用フェ ...

インドア基地局は種類が多くて、小さいものは家庭用フェムトと同じ10mWの物から同じ機体ですが接続能力を屋外用基地局まで上げているもの、20mW~100mWまで調整のできる物、数Wの大型無線機を多数フロアで分配する物、様々です。


Twitter / @miyakawa11: 屋内局は出力が大きいのが良いという事ではありません。 ...

屋内局は出力が大きいのが良いという事ではありません。最近はスマホの比率が高いので、固定回線へのトラフィックをオフロードする場合も此の様な省電力小型基地局をスポット展開用機材として使います。特に飲食店様等のスポット対策は出力は防護指針上大半が10mW以下です


ちなみに家庭用フェムトセルとインドア基地局のハードウェアは見た目が同じ場合もあるものの、基本的には屋外用として展開している基地局と同じ運用体制を採用。これは将来のトラフィック増加に対する側面もあると解説しており、後ほど広報に整理してもらった上で、ソフトバンクモバイル公式ページで詳細を公開するとしています。

Twitter / @miyakawa11: 家庭用フェムトとパブリック用小型基地局の違いは、見た ...

家庭用フェムトとパブリック用小型基地局の違いは、見た目同じハードの場合もありますが、運用面で全く別次元のコントロールをしております。屋外用として展開しているいわゆるマクロ局と呼ばれる局と同じ運用体制です。結構数があるので実はこれが大変。


Twitter / @miyakawa11: また、数の積上げでインドア基地局を小型の物で分散した ...

また、数の積上げでインドア基地局を小型の物で分散しただけだろうとの指摘のご意見もありますが、これは見方によってはそう見る方も否定はしません。ただ将来のトラフィック増加に対する考え方で当社はこの道を選んで以前から歩み続けています。


Twitter / @miyakawa11: そろそろくどい…と叱られそうなので最後に。混乱をさせ ...

そろそろくどい…と叱られそうなので最後に。混乱をさせてしまったようですので、正式にはHP上で広報さんに整理して出して貰います。取り急ぎの拙い回答ですみませんでした。日々、少しでもネットワークが良くなりますように努力し続ける事をお約束します。


◆「18万局」の半数近くは小規模基地局、家庭用以外のフェムトセルに近い基地局もカウント
宮川氏の話によると、基地局免許数が減少したのは「包括免許制度の導入で100mw以下のインドア基地局が総務省免許検索で対象外になったため」ということですが、ここで気になるのが今年1月にBUZZAP編集部がソフトバンクモバイル広報部に基地局免許数について問い合わせた際の回答。

同社広報部は免許数が減少したのは「包括免許制度の導入でフェムトセルの免許切り替えを行っているため」と回答していますが、宮川氏の話を合わせて考えると、ここで登場する「フェムトセル」は宮川氏が説明する「インドア基地局」に含まれていると考えるのが適当であるようです。

また、宮川氏および孫正義氏が2010年7月25日付けで行った以下のツイートによれば、家庭用以外のフェムトセルについて、基地局としてカウントしていることが分かります。

Twitter / @miyakawa11: フェムトの種類は、出力、監視能力、+α機能にて、現在 ...

フェムトの種類は、出力、監視能力、+α機能にて、現在6機種。中規模エリア対策IP基地局はカウント。家庭用は非カウント。


Twitter / @masason: ホームフェムト以外。RT @SR401 フェムトを入 ...

ホームフェムト以外。


つまり、総務省のページに掲載されている2012年2月25日時点の基地局免許数「計10万1318局」と、ソフトバンクモバイルの公式ページに2月29日現在の数字として掲載されている基地局数「計18万2518局(無線局:13万5964局、中継局:4万6554局)」との間に生まれる、実に半数近い8万局という誤差の原因は、家庭用以外のフェムトセルを含めた100mW以下のインドア基地局によるものということになります。

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ちなみにソフトバンクモバイル広報部は先日、「追加でご質問いただきました『18万2518局(無線局135964局、 中継局46554局 )』という数字にはフェムトセルは含まれておりません。」という回答をしていましたが、宮川・孫氏の発言を鑑みると、どうやらこの回答での「フェムトセル」は家庭用のものを指すと考えられます。

非常にややこしいと言わざるを得ませんが、そもそもソフトバンクモバイルの解釈では「家庭用以外のフェムトセルはあくまで『インドア基地局』であり、フェムトセルとは異なる」ということなのかもしれません。

屋内の基地局は必ずしも出力が大きければいいわけでなく、通信量増大による負荷分散の観点からも、小規模な基地局を複数敷設する……という宮川氏の考え方は確かに理解できますが、そのような基地局は限られたエリアしかカバーできないため、どれだけ増えても恩恵を受けられるユーザーはごく一部であるというのも事実。

そのような説明を公式ページなどでユーザーに行わず、以下のように「基地局数2年で3倍」と数だけをアピールする姿勢については、若干の違和感を覚えざるを得ません。


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