現生人類、過去に4種類以上のヒト属と異種交配していたことが遺伝子から明らかに
現生人類は他の多くのヒト属と混じり合っていたことが分かってきました。詳細は以下から。
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現生人類はかつて存在し、今は滅びてしまった兄弟種に当たる別のヒト属とどのような関係を持っていたのでしょうか?遺伝子解析の技術の進展と共に、新たな光景が見えてきました。
Ryan Bohlender博士はカナダのバンクーバーで開催された米国人類遺伝学会において、過去数十万年の人類の歴史の中で、複数の異種交配が人類発祥の地であるアフリカの内外で発生していたという事実を新たな遺伝子測定の技術を用いて確認したと発表しました。
以前は現生人類とネアンデルタール人などの別系統のヒト属とは別れて暮らしており、交流や異種交配などは無かったと考えられてきました。しかし研究が進むに連れ、アフリカ人を除く人類の遺伝子の中にネアンデルタール人特有の遺伝子が数%混入していることが明らかにされました。これは人類がアフリカを出た後の段階でネアンデルタール人と交配したことを表しているとされます。
また、ネアンデルタール人の兄弟種に当たるデニソワ人の遺伝子が現在のアジア人、特にポリネシア人やメラネシア人、オーストラリアのアボリジニらから発見されています。
今回の発表では、こうした異種交配が人類がアフリカを出る前の時点でも起こっていたことを明らかにしています。現時点ではアフリカ人の遺伝子調査のサンプルが少ないため、どの程度の異種交配が行われてきたのかは確定していませんが、他の人種や民族と比べても多様な遺伝子の広がりが発見できそうだとのこと。
滅んだと思われた人類の兄弟種が今を生きる私たちの遺伝子の中に息づいているというのは単純にロマンチックな話でもありますが、人類という存在がこれまで考えていたよりも幅広く自由な種であったということでもあります。
人類みな兄弟ですが、兄弟種のヒト属とも兄弟だったと考えれば、現生人類の中でいがみ合うのも馬鹿らしいと思えるようになるのではないでしょうか?
文藝春秋 (2016-04-08)
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