新石器時代に起こった人口激減の前兆が特定される→現代も同様の前兆が発生中だった


Photo by Robin Hutton

人類史の中で幾度となく繰り返されてきた人口の激減。その前兆となる現象が特定されました。詳細は以下から。

人類が地上に誕生してから現代まで、常に右肩上がりに発展してきたわけではありません。歴史の中では人口の多くを失う事態も繰り返し発生してきました。そうした人口激減はなぜ発生するのか?それが起こる前に発生する前兆が研究によって特定されてきています。

近年の生態学の中で、数十年単位での急激な気候変動を表す「レジームシフト」は大きな要素となっています。そして、そのようなレジームシフトが起こる前には自然環境の回復力の減退が前兆として起こることが珍しくなく、環境システムの回復力の減退のマーカーとなる事象は広範に一覧化されています。

メリーランド大学のSean Downey博士はそうしたマーカーとなる早期警戒信号(EWSs)を古代の人類の社会システムに適用、8000年前から4000年前にヨーロッパで発生した7つの人口激減に際してEWSsが見られることを示しました。

Downey博士は研究の進んだ9つのヨーロッパの地域を選び、2000を超える遺跡の13000以上の年代測定された出土品からのデータを使用しました。人口の変化は新しく創られた村と破棄された村の比率から概算され、それぞれの地域は比較的安定した人口増加を農業の開始以降保っていました。

しかし、9つの地域はそれぞれ少なくとも1度の人口激減に見舞われ、60%にも及ぶ人口を100年のうちに失うことになりました。これらの人口激減は出し抜けにやってきたわけではなく、7つの地域でDowney博士のEWSsが観測されていました。残りの2つはより曖昧であったとのこと。

新石器時代のヨーロッパでは、人口が増えるに連れて資源の過剰な利用が行われました。初期の農耕文明に生きる人々はその土地に多くを費やしており、なんらかの対策を行って多少の延命には繋がったものの、長期的に見ればより悪い結果へと繋がることになりました。

研究報告の中でDowney博士らは「持続可能でない方針を継続することで安定した資源が減っていけば、究極的には破局的な失敗が導かれることになる」と述べています。

Downey博士の研究地のひとつとして選ばれたのがパリ周辺のセーヌ川流域でした。農耕が始まってから1200年以上この地では安定した人口増加が続いていました。しかし6225年前、この地での人口は突如として壊滅的な打撃を受けます。Downey博士は6800年から6300年前にかけてEWSsの証拠を見つけました。

新石器時代におけるEWSsの最も大きなサインは乱伐による森林の減少でした。人口増加に伴って農地を増やしたり木材を使用するために森林資源を枯渇に向かわせたこと、と言い換えてもいいでしょう。

現在、アマゾンを始めとした熱帯雨林の大規模な伐採は絶え間なく行われています。70億人を超えて膨れあがった人類の資源の過剰な利用が、過去にはない大規模な人口崩壊を引き起こす可能性は少なくありません。

人類は資源の持続可能な使用へとシフトチェンジできるのでしょうか?

Warning Signs Detected For Collapse Of Ancient Populations _ IFLScience

(Photo by Robin Hutton


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