映画「インセプション」の世界に突入できる技法が開発されました。詳細は以下から。
夢の中でこれは夢だと認識し、意識的にその夢をコントロールできる様な夢を「明晰夢」と呼びます。クリストファー・ノーラン監督による傑作SF映画「インセプション」で描かれたあの世界を思い浮かべてみるといいかもしれません。
意識的に夢をコントロールできれば、空を自由に飛ぶことはもちろん、好きなあの人といちゃいちゃしたり、嫌いなあいつを惨殺することだって可能。だってそこはあなただけが支配する世界なのですから。
そう考えた人々は自在に明晰夢を見るための技法やデバイスの開発を続けてきました。BUZZAP!でもかつて明晰夢に入るためのマスクを取り上げたことがありますが、同様の取り組みは数限りなく行われてきました。
なぜなら多くの人々は暖かいふとんの中で夢の世界に遊ぶことが大好きですし、心理療法では夢はトラウマを癒やし、精神の抱えた問題を快方に向かわせるきっかけとなるとも考えられているため。そう、夢は人類のフロンティアのひとつなのです。
オーストラリアのアデレード大学のDenholm Aspy博士は169人の被験者に対して明晰夢を誘発する技法を教えて実験を行いました。そのうちのひとつの「現実吟味」は被験者に常に自分が「醒めている」かを確認させる習慣をつけさせるというもの。
Mnemonic induction of lucid dreams(MILDL)という明晰夢技法では被験者らに眠りにつく5時間後にアラームをセットさせ「次に夢見る時、私は夢見ていることを覚えている」と暗唱させます。また、被験者らは「明晰夢の中にいるとはどういうものか」についてのイメージトレーニングも行います。
ジャーナル「Dreaming」に掲載した論文の中で、Aspy博士は「現実吟味」自体は有用ではないとしながらもMILDを試した53%が実験中に明晰夢を見たと報告しており、なんと17%は毎晩明晰夢を見ていたとのこと。
「現実吟味」が有用ではなかったことから、Aspy博士は明晰夢を見るための技法としてMILDが大きな役割を担ったと考えています。また、以前のMILDの実験の際よりも明晰夢を見る確率が上昇しているということです。
およそ55%の人が人生で一度は明晰夢を体験していますが、そのほとんどの人にとってその体験は極めて稀なもの。Aspy博士が明晰夢に惹かれたのも幼少時代に明晰夢の体験があったからということでしたが、博士課程の前夜に再び偶然明晰夢を見たことで研究テーマを非言語コミュニケーションから変えたということです。
明晰夢を見た時、多くの場合はすぐに目覚めてしまいますが、経験を積むことで長く明晰夢の中にいられるようになるということ。Aspy博士は今後の研究のために明晰夢の世界を探求する志願者を募集しています。
A Technique To Control Your Dreams Has Been Verified For The First Time _ IFLScience
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