By Stephen Downes
クリスマス・イブから一夜明け、日本の子どもたちはもうとっくにサンタからのプレゼントを貰ったあと。ですが、サンタはこれからヨーロッパやアメリカを訪れるところなので、彼らの年に一度の大仕事はこれからが佳境。NORAD(北アメリカ航空宇宙防衛司令部)が作り上げたサンタクロース追跡システムは完成度が高く、スマートフォンにも対応しているため、クリスマス・プレゼントとは無縁のロンリーな大人たちでも十分楽しめます。
NORADが毎年行っている「NORAD Tracks Santa」というプロジェクトのPCのサイトにはGoogleマップが埋め込まれ、サンタが訪れた場所がマッピングされています。サンタの本拠地である北極をはじめ、現地の写真を見ることができるのでちょっとした世界旅行気分も味わえます。
NORAD Santa
個人的にイチオシなのが、NORADがサンタの追跡方法について解説しているページ。「人工衛星は、赤鼻のトナカイ『ルドルフ』の鼻から発せられる赤外線を利用して彼らを追跡している」「米国内では、F-15 や F-16、F-22 戦闘機を操縦する米国 NORAD のパイロットが、サンタとその有名なトナカイたち(ダッシャー、ダンサー、プランサー、ヴィクゼン、コメット、キューピッド、ドナー、ブリッツェン、そしてもちろん、ルドルフ)とのスリル満点の共同飛行を実現」など衝撃的な情報が盛りだくさんです。
今年から導入されたスマートフォン対応機能は、iPhoneあるいはAndroid端末の地図アプリに「サンタ(あるいはsanta)」と入力して検索するだけで利用可能。すると、サンタが今いる場所にピンが立って彼の居場所が一目瞭然。これはお手軽です。
朝8時の段階では、フランスとスペインの国境あたりにいた様子。おつとめご苦労さまです。
■「NORAD Tracks Santa」の起源
NORADは冷戦まっただ中の1955年からずっと、サンタの追跡を行っています。追跡開始のきっかけは、コロラドの大手スーパー・シアーズ (Sears) が開設した子ども向けサンタクロース・ホットラインの広告に掲載した電話番号が間違っていたこと。その番号が、偶然にもNORADの前身団体・CONADの司令長官のホットラインと一致してしまったのです。
広告を見た子どもは、それと知らず間違った番号に電話をかけ、司令長官にサンタの居所を聞くというとんでもない事態に。電話を受けた当時の司令官、ハリー・シャウプ大佐は、サンタが北極から南に向かった形跡がないか部下にレーダーで確認させてから、「レーダーで調べた結果、サンタが北極から南に向かった形跡があるね」と優しく答えました。それからもサンタの足取りを訪ねる電話は相次いでかかってきましたが、彼は随時サンタの最新位置情報を子どもたちに提供し続けたそうです。それ以来、サンタの追跡はクリスマスの恒例行事になったと言われています。
間違い電話に粋な対応を見せたハリー・シャウプ大佐。
NORADの普段の任務は、宇宙船の打ち上げや航空機、ミサイルその他北米大陸とその周辺を飛ぶ物体の監視。国防を担う組織が毎年クリスマスに行っているこの小粋なイベントは、多くの職員やスポンサー企業のボランティア精神から成り立っています。
「NORAD Tracks Santa」公式ページには「サンタの追跡はまったくの偶然から始まったことですが、NORAD は今後もその追跡を続けていきたいと考えています。なぜなら、私たちはサンタの追跡を可能にするテクノロジー、能力、人材を備えた唯一の組織だからです。そして何より、この任務に愛情を持って取り組んでいるのです。NORAD は公認のサンタ追跡者としての任務を誇りに思っています。」という何とも胸の熱くなる声明が記載されています。
毎年巡ってくるクリスマス、特に日本では恋人たちのメインイベントとしての色合いが非常に濃いため、そうでない人たちにとっては非常にやり過ごしづらい日になってしまい、昨日は渋谷でデモまで起こった模様。
ですが本来、クリスマスには子どもたちが年に一度、念願のプレゼントを手にすることのできる待望の日という側面だってあったはず。小さいころサンタからもらったプレゼントに思いを馳せつつ、NORADの粋なはからいに乗っかって、昨日よりはお得な値段で買うことのできるチキンやケーキの一つでも食べてみてもいいかもしれません。
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