MacBookより高い「iPhone XS」「iPhone XS Max」「iPhone XR」は本当に価格に見合っているのか、改めて考えてみた


本体価格税抜11~16万円のiPhone XS/XS Maxに、「廉価版」という位置付けにもかかわらず税抜8~10万円のiPhone XR。

類を見ない価格設定から「MacBookよりも高い」などと嘆く声が聞こえてくる今年のiPhoneで、どうしても気になるのが「本当にそれだけのお金を出す価値はあるのか」という点。

「iPhoneといえば実質0円」という風潮に慣れていた人でも納得できる(かもしれない)、今年のiPhoneのコストパフォーマンスを改めて考えてみました。詳細は以下から。

◆iPhone XS、iPhone XS Max
・iPhone XS
まずは各機種の性能をざっと確認。「iPhone XS」はコントラスト比1000000:1、明るさ650カンデラの有機ELを採用したHDR対応5.8インチSuper Retina HDディスプレイ(2436×1125)を搭載しています。

フルHDを上回る解像度を実現したのはiPhone Xが初めてでしたが、iPhone XSシリーズも踏襲。高精細で色鮮やか、明るい有機ELディスプレイが作り出す没入感を存分に楽しめます。

カメラはF1.8広角、F2.4光学2倍ズーム採用で、いずれも1200万画素。4K・60fpsの動画撮影が可能です。サファイヤクリスタル製レンズカバーやデュアル光学手ブレ補正、Focus Pixelを使ったオートフォーカス、広色域キャプチャを備えるなど、カメラとしての性能が底上げされた形に。画像フォーマットとしてHEIF、JPEG形式で保存できます。

ポートレートモードではボケ効果がさらに進化。深度コントロールを利用できるようになった上、自然光、スタジオ照明、輪郭強調照明、ステージ照明、ステージ照明(モノクロ)といった5つのエフェクトも楽しめます。

撮影した画像の詳細は、このようにしてチェックできます。

A12 Bionicプロセッサによって、ARや3Dゲームもグリグリ動作。間違いなくプレミアムフォンです。

Siriもよりグラフィカルに。

前面に備えたF2.2・700万画素TrueDepthカメラは背面カメラ同様、進化したボケ効果や深度コントロールを利用可能に。もちろん顔認識機能「FaceID」も利用できます。

・iPhone XS Max
続いてはiPhone XSの大画面版「iPhone XS Max」。コントラスト比1000000:1、明るさ650カンデラの有機ELを採用したHDR対応6.5インチSuper Retina HDディスプレイ(2688×1242)を搭載しており、iPhone XSより画面サイズが大きくなった分、高精細化されています。

実際に使ってみるとこんな感じに。電子書籍や動画配信サービスなどを楽しむ、あるいは「大きい画面のほうが見やすい」という親御さんに贈る……など、「大画面ならでは」を楽しめる1台。撮影した写真や動画のビューアとしても最適です。

iPhone XS、XS Maxともどもワイヤレス充電に対応したほか、IEC規格60529にもとづいたIP68等級(最大水深2メートルで最大30分間)の防水・防塵・対沫性能を実現しており、雨の中でも気兼ねなく利用できます。

しかし他のスマホ同様、通常の利用によって耐性が低下していく可能性があるほか、Appleは液体による損傷は保証の対象にならないとしているため、利用にあたっては注意が必要です。

◆iPhone XR
そしてiPhone 5c以来の廉価版となる「iPhone XR」。コントラスト比1400:1、明るさ625カンデラのIPS液晶を採用した6.1インチLiquid Retina HDディスプレイ(1792×828)にApple A12 Bionicを搭載したモデルです。

カメラはF1.8広角1200万画素。iPhone XSシリーズから望遠を取り除いた仕様で、進化したボケ効果と深度コントロールを利用できるものの、エフェクトは3つ(自然光、スタジオ照明、輪郭強調照明)に減っています。

前面に備えたF2.2・700万画素TrueDepthカメラは背面カメラ同様、進化したボケ効果や深度コントロールを利用可能。Face IDも利用できます。

防水防塵性能もiPhone XSシリーズからデチューンされ、IEC規格60529にもとづくIP67等級(最大水深1メートルで最大30分間)に。

代わりにブラック、ブルー、コーラル、RED、ホワイト、イエローの6色展開となり、カジュアルに使える1台となりました。

◆対応通信方式、周波数帯は十分
スペックから見ても「プレミアムフォンとしてのiPhone XSシリーズに、廉価版としてのiPhone XR」という位置付けとなった新型iPhone。

その違いは対応通信方式にも現れており、iPhone XSシリーズは実質的な「iPhone専用帯域」と化しているauのBand 11や、高速通信を実現するドコモ/au/ソフトバンクの3.5GHz帯(Band 42)どころか、4x4 MIMOや免許不要の5GHz帯をLTEに使う「LAA」までフルカバーし、高速かつ快適なギガビット級LTEを利用できるのに対し……

iPhone XRは4x4 MIMOやLAAに非対応。両モデルとも通信を高速・安定化させる「キャリアアグリゲーション」などは利用できるものの、先進機能の有無で差を付けてあります。

◆iPhone XS、XS Max、XRをざっくり比較
各機種の特徴をざっくり比較するとこんな感じ。ちなみに有機ELはコントラスト比100万:1でIPS液晶は1400:1。ディスプレイの表示性能、解像度ともにiPhone XRが大きく見劣りするような仕様となっています。

iPhone XS:5.8インチ(2436×1125)有機EL、1200万画素広角/望遠カメラ、IP68
iPhone XS Max:6.5インチ(2688×1242)有機EL、1200万画素広角/望遠カメラ、IP68
iPhone XR:6.1インチ(1792×828)IPS液晶、1200万画素広角カメラ、IP67
共通点:Apple A12 Bionic、Face ID、ワイヤレス充電対応、ステレオスピーカー搭載


◆Androidの1~2年先を行く性能、Apple A12 Bionicがすごい
ここまでだと最新のハイエンドAndroidと大差なく、大半の機種が10万円を優に超える価格設定は高すぎるのではないか……と言われても仕方がないiPhone XS、iPhone XS Max、iPhone XR。

しかしそんな新型iPhoneをスマホ史上類を見ない高額スマホシリーズたらしめているのは、その「Apple A12 Bionic」プロセッサです。

A11と比較して15%高速化を実現する2つの高性能コアと、最大50%低い消費電力を実現する4つの通常用コアで構成され、GPU性能が最大50%向上したApple A12 Bionicプロセッサは、最先端の7nmプロセスで製造されたもの。

その処理能力はえげつなく、「AnTuTuベンチマーク」のスコアは36万オーバーを記録しています。

Buzzap!編集部で測定した今夏発売Androidスマホのスコアはこんな感じ。A12 Bionicが1~2年先の性能であることが分かります。

◆Retinaディスプレイ以来、初めて「iPhoneの先進性」を取り戻したiPhone XS/XRシリーズ
Androidスマホが狭額縁化に邁進する中、"iPhone 6の焼き直し"感が強かったiPhone 8までの本体デザイン。

Samsungが長年にわたって自社スマホに搭載してきた有機ELを、iPhone Xになって得意満面で搭載するなど、ここしばらくiPhoneには「先進性」に欠けていたと言わざるを得ない部分がありました。

しかしApple A12 Bionicは間違いなくiPhoneを先進的なスマホの座に返り咲かせるもので、その価値はiPhone 4で初めて搭載し、競合他社を圧倒した「Retinaディスプレイ」に匹敵します。

つまりiPhone XSシリーズが高価格なのは、ひとえにそのプロセッサの性能のためと言っても過言ではないわけです。

また、廉価版であるiPhone XRにすらApple A12 Bionicを搭載した点も評価すべきポイント。

6.1インチの大画面にもかかわらずXSシリーズよりディスプレイの解像度が低い点は微妙ですが、長い製品寿命を期待できる処理能力と経年劣化の少ない液晶ディスプレイは2年を超える長期利用に最適です。

イニシャルコストこそ高めではあるものの、その価値は十分あるため、買い換えサイクルが2年以上のユーザーはiPhone XRを選んでみるのも良いのではないでしょうか。

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