世界で2億5千万人いるとされる、メガネやコンタクトを着けても日常生活で見えにくさを感じる「ロービジョン者」。
そうした人々でも裸眼で高精細な景色を見ることができ、写真撮影も楽しめるキットをソニーが開発していました。老眼や強度の近視の人にも恩恵のある技術です。詳細は以下から。
CEATEC 2023のソニーブース。
網膜投影カメラキット「DSC-HX99 RNV kit」の展示が行われていました。
これは、ソニーのデジタルカメラCyber-shot「DSC-HX99」と、QDレーザ社のレーザー網膜投影技術を応用したビューファインダー「RETISSA NEOVIEWER」を組み合わせたもの。
背面側から見るとこんな感じ。
ファインダーをのぞくと、目に影響のないほどの微弱なレーザーが網膜に投影され、精細な映像が認識できます。
視力は0.1未満である筆者がファインダーをのぞき込んでみたところ、裸眼でも高精細な映像が確認できました。なんとも不思議な感覚です。
こちらは、平塚盲学校高等部に通う伴さんが網膜投影カメラキットを実際に使っている動画。
伴さんは、世界に2億5000万人いると推定されている、メガネやコンタクトレンズを着けても「見えにくい」「まぶしい」「見える範囲が狭い」などの不自由さを抱えるロービジョン者に該当します。
網膜投影カメラキットを使って伴さんが撮った写真。カメラがとらえる画像が網膜に投影されることで見えづらさが解消され、写真を撮りながら「世界ってこんなにも綺麗だったんだ」という声が漏れるほどです。
カメラキットを通して、空や街、遠くの山や飛んでいる鳥などを次々に撮影。伴さんが実際に見た景色がそのまま写真に収められています。
「楽しくてつい撮りすぎてしまう」と、創作意欲もかき立てられているようです。
目のピント調節の機能を使わないため、従来のビューファインダーや画面では景色が見づらかったという人でも撮影を楽しめるほか、カメラを通して風景や人の顔、ズームで遠くのものを見ることにも使える網膜投影カメラキット。
なかなか値が張りますが、3月24日から10万9800円で販売されているほか、今月からは2980円でのレンタルサービスも開始されたそうです。
ほかにもソニーブースでは白杖に取り付けられて障害物検知や転落防止ができる小型デバイスや、認知症やパーキンソン病の診断にも役立つにおい提示装置なども展示。
ソニーのアクセシビリティにおけるさまざまな取り組みが見える内容となっていました。
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