第4・第5のキャリア実現か、楽天やドコモが欲しがる「新たな周波数帯(1.7GHz/3.4GHz帯)」を解説してみた



楽天が携帯電話事業に参入すべく、新たに開放される周波数帯の割り当てを申請する方針であることを先程Buzzap!でお伝えしましたが、一体どのような意味を持つ周波数帯なのかを解説します。詳細は以下から。

◆今回割り当てられるのは1.7GHz帯と3.4GHz帯、新規事業者優先
まず見てもらいたいのが、総務省が11月に公開した資料。同省ではトラフィック(通信量)急増に伴う周波数需要の高まりに対応するため、周波数帯の新規割り当てを実施する方針です。

まずは現状の再確認。スマホの普及で通信量は1年間で1424.6Gbpsから1991.1Gbpsへと、およそ1.4倍に膨れ上がっています。


総務省は2020年の5G実現に向け、3.7GHz帯および4.5GHz帯(最大500MHz幅)・28GHz帯(最大2GHz幅)を2018年度末ごろまでに、周波数逼迫対策のため1.7GHz帯と3.4GHz帯を2017年度末ごろまでに割り当てる方針です。


1.7GHz帯の現状。まず防衛省が持つ「公共用固定局」を4.5GHz帯へ移行・再編することで、20MHz×2および今まで東名阪でしか使えなかった周波数帯が開放されるほか、すでに携帯3社に割り当て済みの周波数帯に連なる3.4GHz帯においても40MHz×2が開放されます。


新規割り当てについての基本的な考え方。1.7GHz帯で20MHz×2、3.4GHz帯で40MHz×2の4枠を新規事業者を優先して割り当てる方針。なお、もし割り当てを受けた事業者が整備に頓挫するなどして大手3社に事業譲渡した場合、認定は取り消されます。


審査基準。「新規事業者」または「割り当て済み周波数帯に対するユーザー数(=どれだけ逼迫しているか)」、MVNOへの回線提供の充実度、人口カバー率(1.7GHz帯:8年後に80%、3.4GHz帯:5年後に50%)などが問われます。


割り当て案を分かりやすくするとこんな感じ。1.7GHz帯の東名阪以外バンドについては、もはやドコモが獲得するのが妥当な気がしますが、どうなるのでしょうか。


なお、1.7GHz帯については利用できるようになる時期が地域によって異なり、まず関東から整備する形に。つまり新規事業者が単独で全国カバーできるようになるのは早くとも2022年ごろになります。


◆1.7GHz帯をめぐるバトルが始まる
そして今回、注目すべきが「1.7GHz帯がどこに割り当てられるか」という部分。4枠とは別に募集される東名阪以外バンドはドコモが獲得するとみられ、すでに同社も獲得を検討していることを12月11日付けで告知しています。

また、一般的に電波は周波数が高くなればなるほど壁などの障害物に弱くなることから、基地局あたりのカバーエリアが狭く整備コストが膨れ上がる3.4GHz帯は新規事業者にとって荷が重く、既存事業者が割り当てを申請すると考えられます。

つまり今後1.7GHz帯を巡って新規参入を目指す事業者たちのバトルが繰り広げられることになるわけですが、ここで問題となるのがau(KDDI)。東名阪限定で割り当てられたドコモ、イー・モバイルを吸収したことで手に入れたソフトバンクと異なり、KDDIのみ同周波数帯が割り当てられていません。

さらに1.7GHz帯は、世界中の携帯電話事業者が採用している主要バンドの一つ「Band 3」。世界で使えないバンドばかり割り当てられているKDDIにとって現状は厳しく、海外メーカー製のスマホを使いづらいことがau回線のMVNOが苦戦する一因にもなっていることから、同社が獲得を目指す可能性は十分に考えられます。

新規事業者だけでなく、既存の事業者にとっても魅力的な1.7GHz帯。経営体力のある楽天が参入に乗り出す以上、おそらく1社は確実に新規事業者に割り当てられるものとみられますが、2社とも新規事業者に割り当てられる可能性はあるのでしょうか。

ちなみに2005年に1.7GHz帯、2GHz帯を割り当てられた新規事業者の行く末はこんな感じ。携帯電話市場が飽和している中で2社が新規参入するのはいささか厳しいかもしれません。

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