初心者でも比較的手ごろな価格で利用できる廉価版として人気だったiPhone SEに代わる新たなラインナップとして登場したiPhone 16e。
事前情報の段階では「iPhone 16に匹敵する低価格モデル」として好意的に受け止める声もあった一方、いざ発表されてみると全然安くない気がしてならないわけですが、その理由を考えてみました。詳細は以下から。
◆ディスプレイはiPhone 14の使い回し
まず見てもらいたいのが4.7インチ液晶から6.1インチ有機ELへと飛躍的な進化を遂げたiPhone 16eのディスプレイ。
Appleは「iPhone 16と同じコントラスト比」としていますが……
実はiPhone 16とiPhone 14のディスプレイは同じ性能。輝度を向上させるなどAndroidスマホメーカー各社がしのぎを削る中、iPhoneは何年も進化していませんでした。
iPhone 14のディスプレイ仕様。iPhone 16eと全く同じものであることが分かります。
つまり、iPhone 16eはType-Cへの移行を促すEUなどの規制で売れなくなったiPhone 14のディスプレイをそのまま使い回すことで製造コストを引き下げているわけです。
またiPhone 16eのディスプレイについて、Appleは「番組を観る。ゲームをプレイする。読書を楽しむ。どんな時にも理想的です」としているものの、動画やゲーム、ブラウザなどのスクロールで60Hz表示は滑らかさが足りません。
2~3万円台の格安Androidスマホすら120Hz表示に対応していること、そしてAppleも上位モデルで120Hz表示に対応させていることを踏まえれば、少なくとも理想的でないことは分かるはずです。
◆プロセッサは選別落ち品
iPhone 16eはApple Intelligence対応のため「Apple A18」を搭載していますが、これはiPhone 16よりGPUのコアが1つ少ない4コア版。
製造時にコア1つがまともに駆動せずiPhone 16向けに使えなかった、いわゆる「選別落ち」品を廉価版用に使い回しているため、iPhone 16よりゲーム時のパフォーマンスは落ちます。
◆カメラはiPhone 16をデチューン
そして1200万画素→4800万画素へと進化したカメラは、iPhone 16から超広角カメラを抜いた単眼仕様。Appleはピクセルビニングを用いて光学2倍相当で撮影できることを理由に「2つの機能を、1つのカメラに」とうたっています。
仕様を見ても「ツーインワンのカメラシステム」と書かれているものの……
iPhone 16のメインカメラと特段できることは変わらず、むしろコストカットのためセンサーシフト光学式手ぶれ補正が通常の光学式手ぶれ補正にダウングレードされています。
◆Androidの足元にも及ばないコストパフォーマンス
コストを引き下げるためクアルコム製でなく自社製モデムを搭載するなど、安くするために新規の部品を作ることはあっても、あとは基本的に使い回しかデチューンで済ませているiPhone 16e。
確かにGalaxyやPixelなどの廉価版も基本的にはそのスタンスですが、ここで決定的に異なるのが本体価格。
オリジナルに迫る処理能力や120Hzディスプレイ、2眼ないし3眼カメラ、そして最新のAI機能を備えた「Galaxy S24 FE」「Pixel 8a」が遜色ない見た目のまま7万円台で発売されるなど、Android陣営では企業努力がみられます。
一方でiPhone 16eは格安スマホにすら劣る60Hzディスプレイに単眼カメラ、AI非対応(発売時点)でほぼ10万円。しかも正面・背面ともども『型落ち』『廉価版』と分かる見た目です。
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