THE BOHEMIANS「THIS IS POP!!!」発売記念ロングインタビュー、全曲解説からメンバーのプライベートまで【前編】


THE BOHEMIANS(ザ・ボヘミアンズ)待望のメジャー2ndアルバム「THIS IS POP !!!」がついに発売となりましたが、以前告知したようにBUZZAP!編集部では、いま最も勢いがある若手ロックンロールバンドの彼らへロングインタビューを行い、実に3時間、およそ2万6000字という圧倒的ボリュームの記事に仕上げました。アルバムの全曲解説をはじめ、メンバー同士のあんな話やこんな話がたっぷり詰まっています。まずは前編をどうぞ!

THE BOHEMIANS Official Website

【PV】恋はスウィンギン・イン・ザ・レイン / THE BOHEMIANS - YouTube


3月末日に都内某所にて行われた今回のロングインタビュー。以前募集した読者からの質問になるべく多く答えてもらえるように早めのペースで進めていったところ、彼らが少々人見知りなこともあってか、序盤は一問一答に近い形となりました。しかし、時間が経つにつれて彼らも徐々にヒートアップ。和気あいあいとした雰囲気の中、ライブや映像では見えてこないメンバーの知られざる素顔がうかがえる内容になったと思います。

◆待望のメジャー2ndアルバム「THIS IS POP!!!」について

BUZZAP!編集部(以下、B):まず、皆さん昨日は何を聴いていましたか?

Vo. 平田ぱんだ(以下、ぱんだ):おれは踊ってばかりの国。「世界が見たい」めっちゃ聴いてた、大好き。

Dr. チバ・オライリー(と無法の世界)a.k.a ジャン(以下、ジャン):僕、DREAMS COME TRUE聴いてました。年末に失くしたiPodを昨日買い直してやっと電車で音楽が聴けるようになったから、とりあえずドリカムを(笑)ちなみに「MAGIC」ってアルバムです。

Gt. ビートりょう(以下、りょう):昨日、ロジャー・ダルトリー来日公演のチケットを予約したから、「トミー」を聴きました。まるごと。

ぱんだ:どうだった?

りょう:なんかね、改めて聴いたらね、けっこうピートが歌ってるね。実は。

Ba. 星川ドントレットミーダウン(以下、ほっしー):俺はね、タワレコで視聴して一目惚れしたTHE EXPLORERS CLUBっていうビーチボーイズリスペクトの……

りょう:あ、それ知ってるわ。前言ったじゃん。もろにフザケてるやつでしょ?

ほっしー:フザケてるっていうかビーチボーイズもろ、ソフトロックもろみたいな。2ndアルバム出したくらいの若手で、視聴して10秒で「ヤバい」って。

The Explorers Club - Run Run Run (thanks to ClaraDarko2 and Brutzelpretzel) - YouTube


Key. 本間ドミノ先生(以下、本間):ジョンスペ聴いてました。ジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョンの「アクメ」。あと、ビートルズの“ジス・ボーイ”。あれを繰り返し繰り返し聴いてた。

B:ありがとうございます。では、ニューアルバムのタイトルとなった「THIS IS POP !!!」という言葉は、内容やボヘミアンズというバンドそのものを象徴するようなピッタリな言葉ですけれど、これは誰がつけたんですか?

ぱんだ:おれ。アルバムの説明です、「THIS IS POP !!!」そのまんまだから。THE BOHEMIANSの音楽は、別にロックンロールだけやってるわけじゃない。ポップソングもガンガンかますタイプのロックンロールバンドだ、おれたちは。

B「憧れられたい」の時のインタビューでメンバー皆が「次のアルバムはもっと名盤になる」と言っていましたが、今はどう思ってます?

ぱんだ:今回の方がもっと好きになってくれる人が多いと思う。

本間:アルバムとしては今回のほうが好き、ズラッと聴くという意味で。前のアルバムは「曲集」って感じがしてるから。

ほっしー:今回のアルバムも名盤だと思いますけど、まだまだ出来るってところもいっぱいあるから、また次出るアルバムも名盤だぞって言いたくなる(笑)

りょう:俺は「次のアルバムが良い」ってのは挨拶のように言い続けると思うんですけど、でも今回も良いと思います。以上。

ジャン:ほっしーが言ったみたいに「次に繋がるアルバム」として、すごくこのアルバム大好きですね。

B:じゃあ、「THIS IS POP !!!」の次に出るアルバムはもっと名盤になると皆思ってると。今回は約100曲の候補曲から選ばれた楽曲を6日間でレコーディングしたそうですが、10数曲に絞る過程はスンナリといきましたか?

ぱんだ:いかなかったです!原型みたいなのも合わせると100曲くらいありましたので、どれを完成させるかって話だった。

ほっしー:最初にやったのが、候補曲を3枚分のアルバムに振り分けて、それぞれアルバムタイトルとか決めて……。曲順を見比べてみたり。

ぱんだ:結局今回のは出来上がってる曲を優先して入れたの、ほとんど歌詞が出来てるとか。ツアーを終えた勢いでドッカーン!6日で録りました!ってやつをやりたかったから。僕達にとって初めての全国ツアーだったから気合い入ってたんで、アルバムにその影響を与えたかったんだ。

B:前作から約8ヶ月という短いスパンでのリリースとなりましたが、次のアルバムも早めに出しますか?

ぱんだ:早く出るよ。「ザ・ビートルズ VS ザ・モータウン」ていうアルバムなんだけど。大体こんな風に適当に言っていた事が、その次のアルバムタイトルに関係してくるから、あながち嘘ではない。

B:毎年1枚くらいのペースでアルバムが出るんですね。

ぱんだ:いや、1年に2枚でしょ。ザ・ビートルズだから。

B:「憧れられたい」は夏のアルバムという印象でしたが、今回は春のアルバムって感じがします。なぜなら、歌詞に春風とか「春」って単語がすごく頻繁に出てくるからです。全体の半分の曲に「春」が使われていますが、これは意図的?

ぱんだ:意図的なような、そうでもないような。分かりません。

ジャン:曲作りの最初の段階から入れていました。

B:これまでもそうですけど、全体的に恋の歌というか、ボーイミーツガール的な甘い歌詞が多いです。これは意識している部分ですか?

ぱんだ:自然と歌いたいことがそういうことだからだと思います。

B:THE BOHEMIANSはカラオケで歌ったら楽しそうな曲が多いですけれど、現在は“ガール女モーターサイクル”しか入ってません。「憧れられたい」のリード曲は“THE ROBELETS”なのに、何でこの曲なんでしょうか。

ぱんだ:カラオケってこちらから「入れて欲しい」って言って入るものではなく、当時数曲あった中からカラオケ会社が選んだ曲がこれだったというだけ。実際に“ガール女モーターサイクル”は、実はリード候補だったのは間違いないしね。その後“THE ROBELETS”がリード曲になるのが決まったので、唄いたい人はどんどんリクエストしといて下さい。

B:なるほど。ちなみに、カラオケで歌ったことがある人は?

全員:(口々に)無い。

りょう:カラオケ行かないからね、皆。

ほっしー:でも、カラオケに曲、入れたいですね。全曲入れてもいいぐらい、楽曲が良いから。“恋はスウィンギン・イン・ザ・レイン”は入るって聞いてます。

◆“恋はスウィンギン・イン・ザ・レイン”PVやファッションについて

【PV】恋はスウィンギン・イン・ザ・レイン / THE BOHEMIANS - YouTube


B:アルバムジャケットやPVでも5人のルックスを全面に押し出していて、ますます「ロックンロールロールアイドル」って感じになってきましたが、このキャッチコピーは誰が考えたアイデアですか?

ぱんだ:おれらのボス。

りょう:正確に言うと井上貴子さん(ROCKIN'ON JAPAN)じゃない?

本間:井上さんの提案をうちのプロデューサーが気に入って、それで今に至ってるって聞いてます。

B:テーマカラーが“赤×黒×白”の3色ですけど、これはホワイト・ストライプスにインスパイアされたと思っていいんですか?

ぱんだ:全然違う、かんけーない。

ほっしー:言われて気づいたみたいな。

ぱんだ:まあ、意識してないこともないけどね。ファンだから。

B:ジャック・ホワイトはこの色について「ナチスからコカ・コーラまで通じる、最強の色の組み合わせ」と言っていますが。

りょう:コカ・コーラってのは言ってたよね。

ぱんだ:それはジャックが言ってるのを知ってたから。ストライプスとはかんけーないけど、そういう知識はある。元々おれの衣装の色だったんだけど、自然と(テーマカラーに)なったものだから。

B:これまでよりも5人のキャラ立ちがはっきりしてきたな、というのがPVの第一印象でした。特に、本間くんの顔の骨格にレイバンのサングラスが異様なほど似合っていて、「何で今までかけてなかったの?」というくらいです。

ほっしー:あれはホントにね、ドハマリしたね(笑)カッコいい。

B:これから始まる全国ワンマンツアーやライブでもレイバンはかける?

本間:むしろライブ以外の取材など公的なとこでは外さないというか。ライブ中のどっかでだけ外すかもしれません。

B:PVでりょうくんがつけまつ毛をしてますが、これまではしてなかったと思います。

りょう:バレた。でも、実は前のPVの時にもしてるんです、ライブでもたまにしてたしね。今回のはちょっと派手かな。

B:あの特徴的なポリス帽は何個持ってるんですか?

りょう:本気のは2つ。最近衣装用に買ったのもあるし、全部で3つあります。本気のやつは2つとも山形の店で買ってるんですよ、実は。「KIGEN」って駅前の龍上海の近くのお店です。ロックじゃないけど自衛隊の服をリメイクした服とか結構あって、2つともそこっすわ。

B:ここで読者からの質問です。胸のジーン・ヴィンセントなどが鎮座しているデカバッチは自作だそうですが、材料はどこで?

ぱんだ:それは秘密だよ。

りょう:ひ・み・つ(笑)

B:PVで使っているスカーフも山形のお店で購入した私物と聞きましたが、これもやはりポリス帽のお店で買ったんですか?

りょう:いや、あれは「スクワット」ってお店。「スクワット」には皆お世話になってます。

本間:おれの私服、半分くらい「スクワット」だよ。

りょう:山形帰ってる時のプライベート中に「スクワット」で千葉くんと会ったことあるからね(笑)

B:PVでは平田くんのダンスがライブともまた違う動きでしたけど、アルバム発売後のライブではパフォーマンスも変えていく?

ぱんだ:変えない。あれは、緊張からくる固い動きです、ただの。

全員:(笑)

B:ダンスは先生についたりして、ちゃんとした練習をしたことはありますか?

ぱんだ:んなわきゃーない。

B:平田くんの衣装がスポーティに変わったのも印象的です。ヒップホップを感じないギリギリのところにいるというか。バスケットシューズを履いてたのが意外でしたが、そういえば元バスケ部でしたよね?

ぱんだ:10数年ぶりに履いたけど、ムチャクチャ動きやすいね、あれ。

B:自分でセレクトしたんですか?

ぱんだ:スタイリストさんに希望を出していっぱい持ってきてもらった服の中からチョイスしたの。星がいっぱい付いた赤い服もその人が持ってきたやつだし。バッシュはマネージャーから頂いたんだ。

B:ちなみに、バッシュのメーカーとモデルは何ですか?

ぱんだ:あれはジョーダンです。ジョーダンの何かはわからない。

B:あと、衣装ではゴージャスなシャネルのネックレスとイヤリングが目立ちますが、一番気になったものがあります。左手首にしている白いリストバンドはザ・ピロウズの昔のツアーグッズですよね?

ぱんだ:「Thank you, my twilight」ツアーの。あれ、目立たせるためにマジックで文字を書いてるんだよね、ファンに分かってもらえるように。PVじゃわかりづらいかもしれないけど、ブックレットなら目立ってるよ。今回のテーマは「80年代」だったんだ、元々。それが中途半端な紆余曲折を経て、ああなりました。

B:テーマ「80年代」というのは平田くんだけ?

ぱんだ:いや、デザイン全体がそうだったの。次に来るのは80年代フィーバーだよね。一般層にまで食い込んで流行になるから。だから早めに手を出してオシャレ番長を気取ろうと。

ほっしー:80年代リバイバルは絶対にあるから。

ぱんだ:(THE BOHEMIANSの)見た目と音楽が合ってないんじゃないか説がフツフツとあるけどね(笑)最初からもう、バンドとは別にオシャレを思いっきりやりました、という感じ。これからもそうしていきます。

B:5月後半開催のフェス「ROCKS TOKYO」のアーティストコメントでもPVとは違うHIPHOPな衣装でした。

ぱんだ:衣装は2バージョンありますから。Run-D.M.C.ですよ。

B:PVの最後に笑顔でイヤリングをいじっていますが、あれは踊っているうちに外れそうになったとか?

ぱんだ:あれは外れたの。撮影の後半は慣れておフザケしてたんだけど、ほとんどカットされちゃったのね。あれはカットされなかった部分です。

B:PVを見たファンの方がTwitterなどで「平田ぱんだは木村カエラに似てる」と言っていることがちょいちょいありますけど、自分ではどう思ってます?

ぱんだ:顔じゃないところが似てます。

本間:どこが似てんの?

ぱんだ:フォルムと姿勢?あと、仕草?オーラ?顔は似てない。

ジャン:でも、僕も武道館で見た時に、こういう動き(片手を高く上げる動作)がちょっと似てるかもって。

ぱんだ:腕も似てるもん。

B:ところで、何年か前に比べて男性ファンの比率が少なくなってきて女性ファンが増えた印象がありますけど、本人たちから見てどうですか?

ぱんだ:ファンが増えて良かった。おれらは完全なバイセクシュアルですから。男女差別はしないぜ。まず女の子に人気が出ないバンドなんか、おれはあんまり気に入らないから。女の子に人気が出てキャーキャー言われるところから始まるんだ、ロックンロールバンドは。

B:特にライブを見てると感じますが、THE BOHEMIANSの魅力はキラキラして「ロマンチック」なところだと思います。そこが女の子に受けるのかなと。で、ボヘミアンズファンの男の子は「ロマンチスト」だとも思うんです。

ほっしー:いい子が多いよね、男のファンは。ピュアな子。

ぱんだ:斜め見しないっていうか、ヒネてない。本当に。

ジャン:目がキラキラしてる(笑)

本間:まっすぐ見てくるんだよ。こっちの目を。

ぱんだ:ライブのステージ上から見てる時もそうだし、そこら辺で会って喋った時もそうだし。「何て素直でいい子なんだ!」ってのが男の子ファンだから。だって、そうでしょ?大人が聴くものじゃねえっていうかさ、そんなね、大人の汚れた心ではボヘミアンズを楽しめないと思うわ。もしもボヘみたいなバンドがいま出てきたら、おれは素直になれないと思う。

りょう:おれもなれないと思う。

ぱんだ:大人なら何か一言、言いたくもなるよね、ボヘミアンズには。やっぱボヘを好きになる奴は素晴らしい感性の持ち主だよ。素晴らしい!パチパチパチ(ボソボソと声で)。

ほっしー:ホントに音楽好きな奴って気がします、男のファンは。音楽に詳しいっていうか、純粋に音楽を楽しもうとしている人。男って最初は斜に構えてみるじゃないですか、それが無い人がボヘミアンズを好きになるようなイメージ。

ぱんだ:おれはお前の友達だ。ここで答えを待つ!構えてみたら終わりだ。

B:THE BOHEMIANSの魅力を語るには「ロック馬鹿」という要素も外せないと思います。だから、もっとマニアというか「ロックンロール命!」っていう人が好きになってもいいと思うんです。

ほっしー:そうなりたいよね、最終的には。

ジャン:最初は構えてた人が、一周してボヘミアンズを気に入ってくれて、そのままずっと好きでい続けてくれたら良いなと思います。

ぱんだ:いま(ロックンロールの事を)何も知らないでおれたちを好きになってくれた人たちはさ、おれらがザ・ハイロウズを聴いて曲の元ネタを知る、みたいな楽しみがあるからね。お前ら、これからだよ。

◆「THIS IS POP!!!」の全曲解説

B:1曲目はリード曲となった“恋はスウィンギン・イン・ザ・レイン”です。この曲と“太陽観覧者”では歌詞の「太陽」という部分がXXとなっていますが、「I WAS JAPANESE KINKS」収録の“Beat! Beat! Beat!”でも同じようにXXとなっていました。これはどのような意図?

ぱんだ:それは“Beat! Beat! Beat!”で初めて出たフレーズですよね。恥ずかしかったんです。あの当時は「太陽」というワードを出すのに「わあああああッ」ってなっちゃって、ブックレットではXXにしたんですよ。

りょう:それを続けてるだけで最強意味ないっつうかね。

ぱんだ:むしろ「太陽」って出さなきゃいけないくらいになってきたよね、最近は。

りょう:逆にね(笑)

ぱんだ:だからもう、ドンドン出しちゃえばいいと思うね。もう太陽は恥ずかしくないじゃん。(他にも)恥ずかしいワードを出して広げていこうと思うよ、自分の心を。そう思わないかい?

りょう:自分たちの心をね。

ぱんだ:範囲を広げていって、「皆のボヘミアンズ」に早くなりたいね。恥ずかしがってる場合じゃないよ。

ほっしー:「I WAS JAPANESE KINKS」の頃はロックとか男とか言ってたから。男のロックンロール好きな奴が欲しい、みたいな感じだったから。

ぱんだ:んなことはなかったよ、おれは。

ほっしー:おれはそういうのがあったりして……、恥ずかしいみたいな気持ちが。

ぱんだ:おれは男女関係ないもん。女の子に対しても恥ずかしいし。

ジャン:「太陽」ってワードはJ-POPっぽいから恥ずかしいってこと?

りょう:(笑)ていうかね、ていうかね、おれは恥ずかしくなかったよ。今でも作ってる側としては別に恥ずかしくないけどね。

ほっしー:でも実際、XXってのは恥ずかしいからというよりも、ただ面白いからやろうよって言ってやっただけだよ。

B:この曲には「過ぎてゆく風に名前つけるわ」という歌詞があります。“私の家”でもみられた女言葉の歌詞は、元毛皮のマリーズで、いまはドレスコーズをやっている志磨遼平さんからの影響でしょうか?

ぱんだ:ぜーったい違うわ(笑)

りょう:女言葉なことすら、いま言われて気づいたくらいじゃないかな。

B:この曲もそうだし、これまでにリリースした曲を聴いても思うんですが、THE BOHEMIANSってパワー・ポップのバンドなんじゃないかと思いました。パワー・ポップではどういうバンドを聴きます?

ぱんだ:むしろ、(普段)パワー・ポップばっか聴いてんじゃねえかな。パワー・ポップが嫌いな奴なんて会ったことない。

ほっしー:おれ、実は一番好きかもしんない、パワー・ポップ。ザ・ルビナーズとか。初期パンクからのパワー・ポップが好きで、ウィーザーとかが出てくる前のやつ。なんか「B級キラーチューンポップ」みたいな。

The Rubinoos "I Wanna Be Your Boyfriend" (Studio) american powerpop - YouTube


ぱんだバッドフィンガーみたいなのもパワー・ポップなんでしょ?

りょう:美しいコードをギターでガーンッとなるのがパワー・ポップなんだって。ピート・タウンゼントが作った言葉らしいよ。

ほっしー:パワー・ポップって名前自体がすげえなんかボヘミアンズみたい。

りょう:ハード・ポップってジャンルもあるよ。レコード・コレクターズで読んだことある。

B:“恋はスウィンギン~”のPVでもルックスが目立ってた本間くんの綺麗な鍵盤が音の面でも印象的です。バンドで合わせた時に意見を出したりしたんですか?

本間:デモを録ってる時に「イントロが欲しい、キラーイントロが」と思って作りました。

りょう:あのリフはねえ、すげえ決定的だったよね。皆で渋谷(のスタジオ)にいる時に本間くんがピアノでやって「それいいじゃん!」ってなったの。

本間:自然と出てきた。最初はみんなで歌ってるコーラスのフレーズだけ作ったんですけど、足りないな、と。

B:なるほど。では、先程も話が出た2曲目の“愛しのマリーナ”です。サビで「マリーナ」と言ってますけど、ボヘミアンズの曲には欧米の女性の名前が入っているものが多いです、スザンナとかチェルシーとか。読者の「ボヘフレンズだいすき」さんからも質問が来ているんですが、彼女たちのモデルは実際にいるのですか?それとも曲の中だけの人ですか?

ぱんだ:いるんだけどさあ、言えねえ(フザけた調子で)。

りょう:教えれねーな(笑)

ぱんだ:マリーナは、とりあえず、男の人をモチーフにしています。Sさんという人。

全員:(爆笑)

B:この曲の「あなたが/あなたは/本当はわかってる」のメロディがすごい聞き覚えがあるんですけど何でしたっけ?

りょう:探してみてください。

B:歌詞に「5月」って出てきますが、これは「I WAS JAPANESE KINKS」の発売月?

ぱんだ:そういうことにしておこう。

りょう:ぱんだの誕生日も5月だし。

ぱんだ:5月に、ちょっと特別な思い出があるんですよ。バンドとしての思い出が多いんです、5月には。

B:次、3曲目の“シーナ・イズ・ア・シーナ”は「オイ!」っていう元気なコーラスが印象的です。

りょう:これは皆でやってる時に生まれたんじゃなかったかな。

ほっしー:平田くんがいつものように「オイ!とか入れようぜ」って言ったんじゃない?ちなみに全員で叫んでます。

B:この曲は、何となく昔のボヘミアンズっぽい印象を受けましたが、いつ書いた曲でしょうか?

ぱんだ:すっごい新しい曲だよ。“恋は~”と“マリーナ”と“シーナ”以外は全部、古いと考えていい。

B:歌詞で「気がつけばもう四年もたった」とありますが、2008年というと“おぉ!スザンナ”が出来たくらい?

ぱんだ:ちゃんとバンドを始めた時期じゃない?2007年は何もしてないんだよ。2008年から本腰を入れて「東京で天下を取るぜ」と活動を始めたから、そうなってまーす。しかも春。2008年の春に、千葉くんが抜けたの。

ジャン:そうだね。

B:この曲の歌詞って「昔はまったく人気がなかったボヘミアンズだけど、俺達のやり方はあの時から正しかった」っていう風に読めましたが……

ぱんだ:それでいいじゃん。

りょう:(笑)すっげえ嫌な顔してる。

ぱんだ:でも、それでいいと思う。俺たちは歌詞の説明はしないよ。

B:わかりました。でも歌詞について聞きますけど、「シーナ」って、自分たちを愛してくれているボヘミアンズファン皆のことを指しているのでは?

ぱんだ:そう。そう受け取ってもらいたい。「そうだ」とは言わないけど、そう受け取ってもらいたい。

B:では、4曲目“Get back my guitar”。驚いたのが、「作詞・作曲:ジャン」ということです。昔から曲は書いていたんですか?

ジャン:いや、書いてないっす。初めて書いてこんな感じになりました。まあ、初めて作った曲ではないですけど。

ぱんだ:最初にこのアルバム、メンバーそれぞれが10曲ぐらい出したからね。その中から出来てるやつを集めてます。

B:この曲はザ・ストロークスの2ndアルバム辺りに入ってそうな曲だと思いました。

ジャン:ありがとうございます、意識しました。特に、りょうくんがバッキングのつもりじゃなく弾いたリフがストロークスっぽく聞こえてるのかも。すごく良い音だった。

B:手癖なのかもしれませんが、ギターソロはちょっとザ・リバティーンズっぽい印象もあります。

りょう:それは知らねえな。

B:歌詞は「愛するギターが失くなっちまったぜ!」ってだけですけど……

ぱんだ:それ実体験なんだよ。

ジャン:ホントに盗まれたの。空き巣に入られて。去年の4月くらい、引っ越してまだカーテンとかも買ってない時に、いきなりギターだけ盗まれたの。通帳とかは無事だった。

本間:春先から千葉はツイてないんだねって。

ほっしー:(犯人にとって)金目の物がギターだけだったんだろうね。

ぱんだ:(犯人は)隣の奴とかじゃねえの?あんなとこまで来ないでしょ。

ジャン:おれもちょっと疑ってんだよね。しかも盗まれる前日にギター弾いてたんだよ。「うるせえ!」って腹いせに盗まれたのかも(笑)

りょう:次の日に隣から(ギターの音が)聴こえてきたりして。

全員:(爆笑)

B:そのギターは高かったりしたんですか?

ジャン:いや、全然高くない。でも、実は、親父から「お前これで作曲しろよ」って譲り受けたもので。

りょう:でも、それで作曲したからね。

ぱんだ:それで曲が生まれた(笑)

B:5曲目は“ハイパーデストロイでクラッシュマグナムなベイビージェットよいつまでも”。これはインディーズ時代に配布していたCD-Rに収録されている“ハイパーデストロイドクラッシュマグナムベイベー”を改良した曲なわけですが、よりガレージロック風味が増してカッコよくなっています。昔の曲を改良するときはメンバーで話して決めてます?

ジャン:メンバーでアレンジしてますね。エンジニアさんとかには何もアドバイス貰ってません。

B:「ジェット!ジェット!…」というコーラスは、最近解散を発表したジェットの……

ぱんだ:マージでー!?衝撃だわ。

りょう:そうだよ、つい最近の話。

B:(笑)そのジェットの“Are You Gonna Be My Girl”のリフを原曲で引用していたから「ジェット!ジェット!…」と。

ぱんだ:そうそう。ジェット(のリフ)を弾いてるところで、それに合わせてたんだけど。

B:“ハイパーデストロイドクラッシュマグナムベイベー”の曲名がもっと長くなったことで「ジェットよいつまでも」という箇所が入りました。図らずもJETの解散を予言していたわけですよ。

ぱんだ:予言してしまったね。

ほっしー:録音日、去年なのに(笑)

Jet - Are You Gonna Be My Girl - YouTube


B:続いて6曲目“goodbye”です。これまでのアルバムでは1曲ずつしか入っていなかった本間くんの曲がここから2連続ですけれど。

本間:さっきも言ったように、曲としての原型が出来ていたんだよね。おれは一人でほとんど作っちゃうタイプだし。

ぱんだ:歌詞も歌も全部最初から付いてる感じだから。

ほっしー:本間はもう、最初からガチっと作ってくる。

本間:メンバーに聴かせるにしても、印象をちゃんと持ってもらいたいっていうのがあるから。

B:話ずれますけど、ほっしーの曲も次のアルバムには入るのかなと期待してしまいます。

ほっしー:おれ、基本弾き語りとかしかできないから。

ぱんだ:完成されてる曲から優先されるけど、ほっしーはパソコン持ってないから、どうしてもね。

ほっしー:がんばります(笑)

B:“goodbye”に戻りますと、「Teacherで放課後で理科室」という、ボヘミアンズにこれまで無かった世界観があります。「卒業ソング」と呼べなくもないですけど、これは意識している部分ですか?

本間:歌詞、ねえ……。……なんて言えばいいかな。

ジャン:春だし、意識したところはあったんじゃない?

ぱんだ:曲が生み出す空気の振動の中に言葉が浮かんだんだよ。

本間:(笑)曲はリフから作ることが多いから、おれは。詩が同時に出てくることももちろんあるんだけど。その部分がとっかかり。

B:イントロでルー・リードっぽい雰囲気を感じていたら、サビで“Sweet Jane”みたいだなって思いました。

本間:これは本当に古い曲で、多分2007年とかに原型はあって。加藤登紀子さんが好きで、「加藤登紀子さんの曲をルー・リードがやったら」というのが当時のテーマ。あくまでも原型の話ですが。

B:で、ザ・ハイロウズの“夏の朝にキャッチボールを”が歌詞で引用されてますけど。

本間:それは勝手に出てきたの(笑)

ぱんだ:好きな曲でしょ、あれは。

りょう:おれ、あれが一番好きかもしんない。

ぱんだ:あの辺の時期のハイロウズ、さいっこうだよね。演奏も最高。

B:ボヘミアンズの皆はハイロウズが好きですよね?今日の気分で一番好きな曲・アルバムを教えてください。

ぱんだ:この間、ひっさびさに「バームクーヘン」聴きながら自転車乗ったらね、渋谷まで着いちゃった。スゴかった。「バームクーヘン」が一番良いよ。あれは、ロックンロール、だね。あれが、おれが一番作りたいアルバムなの。何でも好きにしていいならば、ああいうのが作りたい。「バームクーヘン」最高!曲なら“ハスキー(欲望という名の戦車)”。

【PV】THE HIGH-LOWS ハスキー - YouTube


本間:曲でいうと、おれは再生回数が一番多いのは“即死”だったの。iTunesでトップ25の上位に入ってたのが“即死”。短いのが良いんだよね。

ほっしー:おれ、“恋のダイナマイトダンス”。あれが一番好き。

ぱんだ:あれ、乗っかったら楽しいよね。音楽的には「HOTEL TIKI-POTO」が一番好き。

りょう:おれ“夏なんだな”。あれと“青春”てさ、同じ種類の感じしない?マーシーの。適当な歌詞に一部だけガシッとした歌詞っていうか。ああいうのばっか作れば良かったんじゃないかって思うんだよ。タイアップが先に決まってから作ってる曲?

ぱんだ:“青春”も「伝説の教師」じゃん。素直にちょっと凝ってるみたいなやつ、みたいな。AAAのために作った“ハリケーン・リリ、ボストン・マリ”とかすげえ良いよ。

ジャン:僕は“ニューヨーク”かな。

ぱんだ:渋いね。

ジャン:個人的な思い入れというか。本間先生と住んでた時、一緒に電車に乗ってる時に聴いてて。その時の思い出みたいなのがあります。

The Bohemians / おぉ!スザンナ - YouTube


【PV】THE ROBELETS / THE BOHEMIANS - YouTube


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<続き>
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