ソニーや東芝が2008年に立ち上げた近接無線通信「TransferJet」。
高速通信を手軽に利用できる一方でタッチが必要なため普及に手間取っていましたが、ついに世界へと羽ばたく日が訪れそうです。詳細は以下から。
「ワイヤレスジャパン2022」のTransferJet Xブース。ミリ波を用いた同規格に準拠したSoCが開発されました。
TransferJet Xが用いるのは60GHz帯。「実効速度ベースで5Gbps」というのは、かなりのものです。
TransferJet XのSoC。ハイエンドスマホなどに用いられる高速伝送対応のUFSフラッシュメモリやUSB Type-Cインターフェースを統合したモジュールとなっています。
このようにスマホやUSB対応のさまざまな機器と組み合わせて使う仕組みです。
TransferJet Xでも「タッチしてコンテンツをダウンロードする仕組み」は健在。ブロードバンドインフラが貧弱なインドなどの諸外国にコンテンツ販売プラットフォームとして売り込むことを想定したものです。
デモの様子。Xperia XZ3とみられる古いスマホを使っているにもかかわらず、731MBのコンテンツを2~3秒で伝送できており、およそ3Gbps程度のパフォーマンスが出ていることが分かります。
興味深いのが応用のイメージ。今まではスマホユーザーに直接コンテンツを届けるような仕組みなどを模索していましたが、産業機械や医療機器、交通インフラ、ロボットなどとの連携を想定しています。
通信インフラが貧弱なため、防犯カメラに録画された映像を回収するためには1つずつ回っていく必要がある途上国。TransferJet Xを使えばすぐにデータを回収して回ることができます。
USBドングル以外にもキーホルダー型端末などがあるため、さまざまな応用が期待できそうです。
実効速度で5Gbpsを叩き出し、接続時間は0.002秒という超高速レスポンスのTransferJet X。
なんと送信アンテナを使うことで、10メートル程度まで通信距離を延長できるようになりました。
その結果生まれたのがソニーセミコンダクタソリューションズと日本無線が手がけた「タッチレスゲートシステム」。
スポットに入ると高速ダウンロードが始まるため、「ライブ帰りの観客全員に特別動画を配布する」といった真似もできます。
イメージ映像はこんな感じ。「タッチレス改札」などの実現も期待したいところです。
さらに「着陸と同時にデータを一瞬で伝送するドローン」など、興味深いアプローチでの開発も進められています。
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