ありとあらゆる物体の表面を楽器に変えてしまう装置「MOGEES」
この世界に存在する様々な表面にコンタクトマイクを貼り付けて、そこを叩いたりこすったりするジェスチャーを音楽に変えてしまう装置がこの「MOGEES」。想像を超えた様々な音色が驚くような場所から聞こえてきます。
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これを創り上げたのはフランスのIRCAMで「音楽におけるリアルタイムインタラクション」のチームに所属していた経歴のあるブルーノ・ザンボーリン氏。
使い方は簡単。コンタクトマイクを樹の幹や戸棚、ガラス窓や床から風船まで、何にでもくっつけてその周りを手のひらで叩いたり、指で擦ったり、木の棒など音の出るもので叩いてみればいいだけ。そのパターンを「MOGEES」のシステムが認識して音を出します。一度演奏者が特定のジェスチャーを試せばそのパターンはすぐにシステムが記憶するとのこと。
違うタイプのジェスチャーからは違うタイプの音が出るようになっており、演奏時にMOGEESのソフトは演奏者のジェスチャーを感知して記憶した音を出します。音階は実際にコンタクトマイクが拾う音に依存するため、表面の違う場所を同じジェスチャーで叩くと音階が変化します。
MOGEESの使っている音声合成技術は2種類。ひとつは物理モデル音源で、それぞれの表面の材質を伝わる音の波形をシミュレートして音を創り上げます。もうひとつはモザイクと呼ばれる技法を使用。演奏者がサウンドフォルダをロードしておき、マイクの拾った音をソフトが解析してフォルダの中から一番近い割り当ての音を出すという仕組み。フォルダの中から人の声が割り当てられれば、やさしく触れるとささやき声、引っ掛けば叫び声が再生されます。
使い方と出音のデモは以下から。かなりいろいろできそうです。
Mogees – Gesture recognition with contact-microphones from bruno zamborlin on Vimeo.
前者の技術は電子ドラムに、後者はドラムマシンに似ていますが、やはり場所を選ばないのと、逆に選んだ場所の素材や状態などが音に影響を与えるのが新しい発想。自分だけの楽器を探したり、素材を加工してカスタマイズできますし、サウンドフォルダに入れる音を自分で選べば他にない音色のバリエーションを持つ楽器に仕上げることもできそうです。
これ、例えば人体の表面などにも取り付けたら面白いことになりそうですね。心音や声などで起こる振動を感知して音を出したり、いっそこれを付けたままヒューマンビートボックスをやってみたり。演奏者のアイディアで応用方法は無限に広がりそうです。
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