フランスの漫画「バンド・デシネ」界を代表する漫画家メビウス(ジャン・ジロー)さんが2012年3月10日にパリで亡くなりました。
時事ドットコム:フランスの漫画家、ジャン・ジロー氏死去
Famed French Artist Jean Giraud (Moebius) Dies At 73 | The Mary Sue
フランスの各メディアによると、芸術性の高いフランスの漫画「バンド・デシネ」界を代表し、世界中にフォロワーを生み出し続けている漫画家のメビウス(ジャン・ジロー)さんが2012年3月10日にパリで亡くなったとのこと。享年73歳で、長い間闘病生活を送っていました。
1963年に本名のジャン・ジロー名義で発表した西部劇「ブルーベリー」シリーズが大ヒット。その後1975年から連載したメビウス名義での「アルザック」はセリフが一切無い革新的な作品で、その圧倒的な画力とイマジネーションで世界中に大きなビジュアルショックをもたらしました。この作品は後年、メビウス自身が監督・脚本・プロデュースしたアニメーションにもなっています。
日本の漫画界に与えた影響も大きく、荒木飛呂彦、浦沢直樹、大友克洋、小池桂一、谷口ジロー、手塚治虫、寺田克也、とり・みき、鳥山明、内藤泰弘、藤原カムイ、松本大洋、宮崎駿、村田蓮爾などのそうそうたる日本漫画界の巨人たちがメビウスから受けた影響を語っています。特に宮崎駿とメビウスはお互いにファン同士であり、「風の谷のナウシカ」に因んで長女の名前はなんとナウシカ(Nausicaa)。
こちらの動画は宮崎駿とメビウスの対談です。
Hayao Miyazaki - YouTube
メビウス(ジャン・ジロー)の影響を受けた漫画家達 - NAVER まとめ
こちらは本日ブログに掲載された、寺田克也氏によるメビウス追悼イラストです。
また、アニメーション監督ルネ・ラルーによる「時の支配者」やリドリー・スコット監督のSF映画「ブレードランナー」をはじめ、「エイリアン」「トロン」「ウィリー」「アビス」「リトル・ニモ」「フィフス・エレメント」といった映画でも美術デザインなどで活躍しています。
◆日本語で読めるメビウスの著作
2000年代後半から日本初のヨーロッパ漫画専門誌「ユーロマンガ」周辺の活躍により、邦訳のバンドデシネが出版されることがとても多くなっているのですが、その一環としてメビウスの著作も何作か発売されています。
2009年には、ラフスケッチや下描きをせずに一発描きで、しかも修正ひとつ入れずに仕上げたという驚異的な作品「B砂漠の40日間」が発売になりました。こちらは白黒の作品です。
続く2010年には「エル・トポ」などが知られるカルト映画監督アレハンドロ・ホドロフスキー原作のサイケデリック・スペース・オペラ「L'INCAL アンカル」も、日本版第一巻の発売から実に24年の時を経て完訳版が発売されています。これはメビウスの代表作の一つで、カラー作品です。
そして2011年には創世記をテーマにしたSFファンタジー巨編「エデナの世界」も発売されました。ストーリーもメビウス自身によるカラー作品です。
また、2009年の来日に合わせてユリイカ誌でも特集が組まれています。
以下のページでは、メビウスが書いた「赤十字誕生物語」が日本語で読めます。
www.jrc.or.jp/vcms_lf/koho090615.pdf
カルティエの新作「バロン ブルー ドゥ カルティエ ウォッチ」をテーマにしたコラボ漫画「Azulera(アズレラ)」はこちら。短編SFなので読みやすいです。
Azulera(アズレラ)
日本語で読めるメビウス情報は以下のサイトが詳しいです。
メビウス・ラビリンス
筆者個人的にもメビウスさんは最も好きなバンドデシネ作家であり、イラストレーターでした。心よりご冥福をお祈りいたします。本当にありがとうございました。
・関連記事
世界で最も優れた報道写真、「世界報道写真展2012(World Press Photo)」 ~自然、現代社会の問題、アート&エンターテインメントの部~ | BUZZAP!(バザップ!)
アーティストやデザイナーの「仕事机」と愛用するPCの「デスクトップ」を比較する | BUZZAP!(バザップ!)
あのロック名盤ジャケットから亡くなったバンドメンバーだけを抜くとこうなる | BUZZAP!(バザップ!)
マルティン・クリマスの最新作、大量の絵の具と音楽で創り上げられたきらびやかな一瞬のオブジェ | BUZZAP!(バザップ!)
鉄腕アトムやブラック・ジャックと森山未來が同時に舞い踊るダンス作品「テヅカ TeZukA」鑑賞レポート | BUZZAP!(バザップ!)