お値段3700万円!世界初の試験管培養ビーフのハンバーガー作成へ


牛の細胞を培養して試験管で作られた牛肉が世界で初めてハンバーガーになることが明らかになりました。肉食の新しい時代が始まることになるのでしょうか?

オランダのマーストリヒト大学のMark Post教授は牛の幹細胞を培養して牛の筋肉繊維を創り出すことに成功。3000もの筋肉繊維から140gの牛肉パティを使ったハンバーガーを作成し、資金提供者のビジネスマンに振る舞うことになりました。

この研究にこれまでかかったのは3700万円、間違いなく世界一高価なハンバーガーになります。この培養された牛肉、生の状態では灰色でイカやホタテのようにヌメヌメとしているとのことで、食感にも期待が持てそうです。

具体的な試験管ビーフの作成手順としては、まず牛の筋肉から幹細胞を剥ぎ取り、栄養培地で半熟玉子のようなネバネバした組織になるまで培養。さらにはこの筋肉繊維を実験器具に固定してストレッチさせることで筋肉として鍛え、最終的には3000本の筋肉繊維をミンチにし、別に培養された脂肪分と混ぜあわせてパティを作ります。

ずいぶん気の長い話に見えますが、コストを度外視すれば実験室からスーパーマーケットの棚に並ぶまでの期間は6週間で済みます。さらに、この試験管で作られる肉には利点があるといいます。

Post教授によると、現在人類が行う農作物の70%は食肉用家畜の飼料として使われており、対策を取らなければ今後の人口増加などによって、肉は一部の人しか食べられない贅沢品になってしまうとのこと。

試験管ミート、培養肉などと呼ばれるこれらの肉は生きた動物を殺さない上に、1kg当たりの肉を作成するのに必要な飼料、水、燃料などの資源の消費が格段に少なくて済みます。家畜から1kgの肉を作成するのに10kgの植物性飼料と油を必要としますが、培養肉では2kgで済みます。

要するに、家畜の動物が餌に含まれる植物性たんぱく質を自らの肉の動物性たんぱく質に変換させる効率はよいものではなく、培養肉を使えば効率的に変換できるとのこと。

動物を殺す必要がないため、一部のベジタリアンらも市場として見込める他、PETAなどの動物愛護団体からも賛同されています。味に関しても、培養した脂肪組織やその他の栄養分などを添加することで消費者の好みに合うものを作れるようになります。

オックスフォード大学の科学者も2011年の段階で、培養ビーフの作成はは自然のビーフよりも45%エネルギーを節約でき、99%の牧場を減らすことができ、78~95%の温室効果ガスを削減できるとしています。

家畜の牛のゲップが非常に大量の二酸化炭素を排出することは以前から知られていましたが、培養肉が主流となればこちらにも効果がありそうです。

食糧やエネルギーの節約の観点からも、動物虐待防止の観点からも、さらには地球温暖化対策としても大きな役割をはたす可能性のある培養肉、早ければ10年以内の商品化も可能とされていますが、問題のお味はいかがなものでしょうか?感想が待たれます。

£250,000 hamburger First test tube-grown beef will be served in London restaurant this week Mail Online

おいしいハンバーガーのこわい話
エリック シュローサー
草思社


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