京都では梅の花が満開となり、桜の花も咲き始めています。そして初めての大規模な国際現代芸術祭「パラソフィア(PARASOPHIA)」が開催されています。お花見とともに楽しんでみたいという方のためにBUZZAP!的視点から案内します。
「PARASOPHIA:京都国際現代芸術祭2015」は京都で開催される初の大規模国際現代芸術祭。世界の第一線で活躍する36組のアーティストが京都市内の8つの会場で作品を展示しています。
それ以外にもシネマプログラムやレクチャーを始め、パラソフィアとリンクして始動したART GRID KYOTO、Sound Exhibition 2015などが同時に京都の街をジャック、春の京都全体がアートに包み込まれるという壮大な企画が現在進行中です。
PARASOPHIA 京都国際現代芸術祭
全てを詳しく紹介することはさすがに不可能ですので、メインの会場を中心としたオススメ会場の巡り方、そして地方から京都を訪れる観光客の皆様のためにそれぞれの会場に近い見どころなどもご紹介します。
その前にまず注意点を幾つか。最初に、このパラソフィアに展示されている作品の中で、いわゆる「京都を感じさせるもの」はありません。昨年話題となった「鳥獣戯画展」のようなものを想像していると全く違います。
また、展示作品には映像作品が非常に多いため、ある程度しっかり見ようと考えるとそれなりの時間を取る必要があります。特にメイン会場となる京都市美術館は2時間あっても足りません。少なくとも半日は滞在することを考えましょう。
なお、有料会場はメインの京都市美術館と京都文化博物館のみで、共通券が大人1800円。それぞれの会場で1日有効で再入場可能、別々の日に訪れることもできます。
◆京都市美術館(岡崎公園内・平安神宮から徒歩5分)
メイン会場となるのがこちらの京都市美術館。1933年開館で、公立美術館としては東京都美術館に次いで日本で2番目の古さを誇ります。平安神宮を始めとした文化・観光・産業施設の集まる岡崎公園内に位置しており、目の前には大鳥居が聳えています。
この会場の南側には琵琶湖疏水が走り、春には美しい桜の花で埋め尽くされます。地下鉄東山駅から歩くのもいいですし、祇園方面から白川沿いに桜を眺めながら散歩してくるのも楽しい季節です。
美術館入り口にはやなぎみわの作品である巨大なトレーラーが据え付けられており、ショーやパフォーマンスなども行われます。
こちらが入り口。
美術館の中央スペースは無料展示エリア。蔡國強による巨大な竹製のパゴダを始めとしたロボットなどの作品を鑑賞できます。
有料エリアの作品群は、先にも述べたように10分から長いものでは数時間にも及ぶ映像作品が多く、全てをじっくり見るのは至難の業。開館時間が9:00~17:00なので、可能な限り朝一に到着するのがオススメです。
この周辺には桜で有名な南禅寺や蹴上インクラインがあり、ライトアップの行われる円山公園までも歩いてすぐ。祇園や先斗町などの繁華街にも近いため、この会場を訪れるのであれば1日をこのエリアで過ごすプランにするのがベター。
移動は徒歩かレンタサイクルが一番ですが、自転車の場合は四条通が自転車通行禁止なので注意が必要です。また、観光客が多いエリアなので歩行者にも注意。祇園と東山通は激しく渋滞するため、バスやタクシー、自家用車で近づくのは全く薦められません。
◆京都文化博物館(三条高倉)
こちらも有料会場。国の重要文化財・旧日本銀行京都支店の建物を使った京都文化博物館の別館を用いて展示が行われています。
この周辺にはおしゃれなお店からイノダコーヒーのような老舗の喫茶店が点在する京都の中心街の一角。「京都の中心」とも呼ばれる六角堂やまんがミュージアムも近く、こちらも一日じっくり過ごせるエリアです。訪れた日にはアートフリマも開かれていました。
メインで展示されているのはホールの森村泰昌。ヴェラスケスが好きな人にはたまらないシリーズと言えそうです。
もう1つの作品は25分の映像作品。ひと通り見るなら30分程度を想定しておけばよいので、メイン会場と別日で回るのがベスト。近くには大垣書店烏丸三条店、京都芸術センターの2会場が位置しており、徒歩で回れます。
◆京都芸術センター(室町通蛸薬師下ル)
1993年に廃校となった小学校を改装して2000年にオープンしたのがこの京都芸術センター。芸術家の制作支援や情報発信、交流などを目的としており、展覧会や公演、ワークショップなども開催されています。
こちらは近年注目度が増しているおしゃれスポット増加中のエリアで、7月には祇園祭の山鉾が立ち並びます。センター内にはカフェや資料室、図書室などが完備され、京都のアートに関する情報を収集することができます。
◆堀川団地(堀川通沿い)
古い団地を再利用して作られているのがこちらの会場。まさに団地の部屋そのものに作品が展示されています。
アクセスは若干悪く、バスが大混雑となる週末には地下鉄烏丸線の今出川駅か東西線の二条城前駅から歩くことに。可能ならばレンタサイクルで回りたいところです。近くには清明神社があり、自転車ならば京都御苑もすぐ。桜で有名な平野神社まで足を伸ばしてみてもいいかもしれません。
◆鴨川デルタ(京阪出町柳駅から徒歩5分)
京阪線の終点、出町柳駅の目の前に広がる賀茂川と高野川の合流地点。森見登美彦の小説ではお馴染みの場所であり、世界遺産の下鴨神社の南参道の入り口に位置しています。鴨川デルタの周囲には桜の木が多く、お花見をする大学生のグループも多数。ここから賀茂川東岸を遡って行くと桜の名所「半木(なからぎ)の道」があります。
こちらの作品はスーザン・フィリップスによるサウンドインスタレーション。毎時ちょうどと30分から数分間、鴨川デルタの南にかかる賀茂大橋、東側の河合橋、西側の出町橋に備え付けられたスピーカーから不思議なサラウンドで音楽が鳴らされ、鴨川デルタ全体が音の彫刻の中に飲み込まれてゆきます。
川の流れや鳥の声、車の音から憩う人々の声までもが音楽と一体となり、東に臨む大文字山までもがその世界に包まれているかのようです。
なお、西側にはアニメ「たまこまーけっと」のモデルともなった出町桝形商店街があり、食べログでも常に上位に入る和菓子屋の出町ふたばがあります。ここの豆餅を行列に並んで手に入れ、鴨川デルタでゆっくり食べながら音楽を待とうと考える人もいるかもしれませんが、ここのトンビは非常に凶暴で人間の食べ物を奪い取ることで有名。
春の気持ちのいい日にここでゆっくりするのは本当に最高の気分なのですが、その点のみ最新の注意を払って下さい。
ということで、駆け足で紹介してきましたが、普通の京都観光に飽きたらないアート好きはこのパラソフィアを旅程に組み込むことで一味違った京都を楽しむことができるでしょう。
なお、関連イベントは以下のART GRID KYOTOから確認することができます。
ART GRID KYOTO
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