Photo by Katexic Publications
最強の耐久性を持つとされる動物、クマムシの遺伝子は1/6が外来のものであることが明らかにされました。詳細は以下から。
宇宙空間を含む極限の環境でも生き延びられる史上最強の動物として、気が付けば人気者となっているクマムシ。高熱や極低温、超高圧下などでも死なないそのとんでもない耐性の一部は他の生物から獲得されたものかもしれません。
ノースカロライナ大学の研究チームの研究によると、クマムシの全遺伝子の1/6にも当たる6000もの遺伝子が、元来のクマムシ由来のものではなく、遺伝子水平伝播によって別の生物からもたらされたものであることが明らかになりました。
この遺伝子水平伝播というのは、直接の祖先から遺伝子を遺伝によって受け継ぐのではなく、個体間や他生物間において遺伝子の取り込みが行われること。細菌類などでは比較的頻繁に起こる他、人間の遺伝子にもウィルスの遺伝子がこの方法によって取り込まれていることが既に分かっています。
ですが、全体の1/6という莫大な遺伝子がこのように外来のものであるというケースはこれまで報告されていません。ただし、クマムシは最低でも2億5000万年前には地上に存在していたため、他の生物に比べて頻繁に遺伝子水平伝播が起こったとは今のところは言えないということ。
研究者らはクマムシが極限状態下で生存することができるのはこうして獲得された遺伝子によるものと考えており、特に乾燥状態から水分が補給される際に新たな遺伝子が獲得された可能性が高いとしています。
ただでさえとんでもない耐性を持つクマムシですが、その耐性が自前のものではなく他の生物から獲得されたものと考えると、生物の持つ可能性の大きさには驚かざるを得ません。
Almost 1 6 Of Tardigrade DNA Is Foreign IFLScience
(Photo by Katexic Publications)
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