あえて時代に逆行するスマホ用ゲームカセット「ピコカセット」のクラウドファンディング始まる、「忍者じゃじゃ丸くん」が第1弾

ダウンロードが当たり前のスマホゲーム。ですがそこであえて物理的なゲームカセットを差してゲームをするという発想が話題になっています。


iOSでもAndroidでも、スマホでゲームをするならストアからダウンロードするのが当たり前。基本無料で多くの最新ゲームを楽しむことができるのが2016年のスタンダードなのですが、その流れに30年逆行する「ピコカセット」が話題になっています。

ピコカセットはゲームカセット型のスマホ用のガジェット。イヤホンジャックに差し込み、専用アプリを立ち上げるだけでゲームをプレイすることができてしまいます。東京ゲームショウでの実際に起動しているピコカセットのデモ動画は以下から。

Picocassette Demo at Tokyo Game Show 2015 – YouTube

とはいえ、本来スマホゲームは当該ゲームアプリをダウンロードするだけでプレイできてしまうので、ピコカセットは完全に一手間増えていますし、かさばるカセットを持ち運ばねばならず、その購入代金も発生します。

それなのに、いったいなぜ手間暇もお金もかかるピコカセットの開発に至ったのでしょうか?現在ピコカセットはクラウドファンディングサイトMakuakeでファンディングを開始していますが、初日にして既に目標額1000万円の1割を集めています。

そこで見られる出資者からのコメントを見ると、レトロゲームが好きという人はもちろん、スマホにカセットを差してゲームをするというコンセプト自体に惹かれている人も少なくありません。そして開発者の本プロジェクトに対するアツい想いがアツ過ぎるので当該箇所を全文引用致します。

このプロジェクトでは、スマホの普及によって完全デジタル化されたゲームを、再び「おもちゃ」の形に戻すことを目指しています。

おもちゃ屋に行き、お小遣いでゲームを買い、説明書を読み込み、満を持してカセットをゲーム機本体に差し込んだ時の、あの気持ち。そして、そんな気持ちで買ったカセットを、私たちは、とても大事に扱っていたと思います。

カセットを手にした時のあのワクワク感。
形があるからこそ生まれる、モノを大切にしようという気持ち。
そんな気持ちを思い出し、再び大切にするため、ピコカは、手に持てる、人に手渡せる、カセットという形態を取り入れました。

ピコカを通じて、大人が子供に戻る瞬間をたくさん作りたいと思っています。
そして、そんな大人たちが大切にしていた気持ちを、ピコカを通じて、ピコカで遊ぶ大人たちを通して、今のこどもたちにも少しでも伝えられたら、ピコカプロジェクトは、大成功です。

スマホ用ゲームカセット<ピコカセット>遂に始動!第一弾は忍者じゃじゃ丸くん!  クラウドファンディング - Makuake(マクアケ)より引用)

ということで、ピコカセットがターゲットにしているのはデジタルネイティブの子供たちではなく、実際にファミコンのカセットをどれにしようか迷って買い、説明書を丁寧に読み込み、カセットも箱も大切に取っておいたアラサー以上のゲーム好きたち。以下のティーザームービーを見て開発者が何をしたいのか一発で理解できたらあなたは間違いなくその一員です。

ピコカセット ティザームービー Picocassette Coming soon – YouTube

そんなピコカセットが第1弾に選んだのが「忍者じゃじゃ丸くん」。1985年にジャレコが発売したアクションゲームで、ジャンプと手裏剣、様々なアイテムを駆使して妖怪たちを倒しながらなまず太夫にさらわれたさくら姫を助けるのが目的。初めてプレイして2面でクロベエに瞬殺された苦い記憶を覚えている人も多いのではないでしょうか?

忍者じゃじゃ丸くん(ファミコン版) 妖怪達の宴 – YouTube

ソフトの絶妙なチョイスも含め、アラサー以上のゲーマーは期待して出資してみても良さそうです。2000個限定の開発版を手に入れられる「デバッガーコース」は4980円、製品版の「プロモーターコース」は5980円と、ファミコンのカセットを思い出させる値段設定となっています。

なお、出資者は架空のゲーム開発会社「ピコカセ倶楽部」に入社するという設定になっており、上記以外にもデザイナーコース、スーパーバイザーコースなどの多くの「役職」があり、それぞれのコースによって製品デザインや次回作タイトルの提案など、今後のピコカセットに関わってゆけるという特典付き。いつかゲーム開発に携わりたいと考えたことのある人にとっては夢が実現してしまいます。

ということで、単にスマホにカセットを差したら昔のゲームがプレイできるというだけの話には留まらず、ピコカセットが提供するのはファミコン時代に確かに存在した世界の肌触りだとも言えそうです。それがどんなものだったかはひとりひとり違いますが、ピコカセットに関わることで懐かしい思い出だったものが現実のプロジェクトとして動き出すとしたら、とても幸福なことなのではないでしょうか?

スマホ用ゲームカセット<ピコカセット>遂に始動!第一弾は忍者じゃじゃ丸くん!  クラウドファンディング - Makuake(マクアケ)

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