AIは不完全な情報を「推測」や「直感」でカバーする事までも覚えてしまいました。詳細は以下から。
AI棋士「Master」が昨年末から今年頭に掛け、インターネット上の囲碁サイトで世界的な棋士を次々と打ち破ったことはまだ記憶に新しいところですが、なんとポーカーでもAIがプロに圧勝するという事態になってきました。
謎の囲碁棋士「Master」こと「改良型AlphaGo」、世界のトップ棋士を相手に60戦全勝 | BUZZAP!(バザップ!)
囲碁はオセロやチェス、将棋などと同じように相手の駒の全てを把握しながら戦うゲームです。しかし、ポーカーで知ることができるのは自らの手札と相手手札の一部(ルールによって異なる)のみ。
不完全な情報を元に相手の手札を推測し、自らが賭けに伸るか反るかの判断をしなくてはなりません。そのため、ポーカーでAIが人間に勝つのは囲碁と同じくらい難しいと考えられてきました。
しかしカナダのアルバータ大学のマイケル・ボウリング研究チームはAI「DeepStack」がポーカーのプロに圧勝したことを3月2日に米科学誌Scienceに発表したのです。
DeepStackはディープラーニングによって無数のシチュエーションを学習し、人間の「直感」にも似た判断基準を獲得したとのこと。これによって11人の人間の対戦相手との3000局にも及ぶ勝負で10人に勝利、獲得チップの数で圧勝となったということです。
なお、今回のポーカーで使われたルールは「Texas Hold'em」という2人対局のもの。それぞれ自分だけに見える2枚の手札が配られ、さらに配られる全員に見える5枚の共通カードの中から選んで役を作り、その過程でチップを掛けてゆきます。
対戦者のひとり、アイルランドのプロポーカープレイヤーのDara O'KearneyさんはIndependent紙に対し、DeepStackはゲームのセオリーに則って人間のように戦ったと証言しています。
人間と大きな違いはなかったよ。もしコンピュータだと知らされていなかったらそうとは気付かなかったと思う。私はずいぶんうまくやったと思う。でもコンピュータの方が私よりもちょっとうまかった。でも、ものすごくうまかったわけではないかな。
ゲームが違う以上比較はできませんが、イ・セドルを倒したAlphaGoが人間では考えられないような打ち筋を見せたこととは対照的です。
なお、多人数で行うポーカーでは情報の不完全性がさらに増すため、そうしたルールで行うポーカーで勝利するアルゴリズムが作られるのはもう少し先になりそうとのこと。
ただし、不完全な情報を元に「直感」で判断するという能力は軍事戦略の立案や、病気の治療方針の決定といった分野で応用が期待できるとのこと。
BUZZAP!では以前2000万件の医学論文を読み込んだIBMの人工知能Watsonが特殊な白血病を10分で見抜いたという事例を報じましたが、大量の知識と「直感」が組み合わさった時、より大きなブレイクスルーが生まれることは間違いなさそうです。
2000万件の医学論文を読み込んだ人工知能Watson、特殊な白血病を10分で見抜き患者の命を救う | BUZZAP!(バザップ!)
AI’s defeat of pro poker players a ‘paradigm shift’, say scientists _ The Independent
Winning against a computer isn’t in the cards for poker pros _ Science News
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