私たちが野菜や果物を摂取する時、そこで摂取しているのは単に栄養分だけではないかも知れません。詳細は以下から。
BUZZAP!では先日、私たちの消化器官に常在する細菌たちが私たちの意識、特に感情行動に大きな影響を与えているとの研究結果を報じました。
善玉菌や悪玉菌などと呼ばれる何兆もの細菌は常に私たち人間の体内に存在し、ひとつの生態系を作り上げています。そして、どんな細菌が体内で優勢かによって私たちの考えや気分が影響を受け、場合によっては鬱や不安とも関係している可能性が指摘されています。
では、この体内の細菌たちは完全に独立した存在なのかというと、もちろんそんなことはありません。消化器官に存在する細菌は私たちが食べる食物の影響も受けるのです。そして、野菜や果物を食べる時、そこに含まれるホルモンが私たちの感情だけでなく健康にも影響を及ぼしている可能性がTrends in Plant Scienceに掲載された新しい論文で指摘されています。
それによると、単に人間や腸内細菌が直物ホルモンを感知して影響を受けるだけではなく、刺激されて自らも同様のホルモンを分泌するケースがあるということ。
例えば休眠や生長抑制、気孔の閉鎖などを誘導するアブシジン酸という植物ホルモンの一種はほ乳類の体内でも生成され、抗炎症作用とグルコース取込の調整作用を持つと考えられています。
それゆえに、アブシジン酸を高濃度で含む植物を摂取することが糖尿病の治療に役立つ可能性があります。
植物ホルモンと腸内細菌、そして人間との関係は極めて複雑で分かっていないことも多いのですが、こうした関係を突き詰めてゆけば、肥満から癌に至るまでの有効な治療法が見つかるかもしれないということです。
野菜や果物を食べる時の基準が今とは全く変わってしまうと考えるとちょっと不思議ですが、大きな副作用なしで健康状態を改善できるとすれば、補助的手段としてであれ大きな進歩と言えそうです。
Plant Hormones In The Food We Eat Could Influence Our Health _ IFLScience
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