新手のモンスターのような風格さえあります。詳細は以下から。
日本人の多くが小学校の頃に読んだことのあるであろう「スイミー」。アメリカの絵本作家レオ・レオニの作品で、谷川俊太郎訳の日本語版は長く小学校の国語の教科書に掲載され、愛されてきてます。
小魚だったスイミーは大勢の兄弟をマグロに食べられ、後に同じようにマグロに怯える小魚たちと共に集団で大きな魚のフリをして、巨大なマグロを追い払うというのがあらすじ。
他の兄弟がみんな赤く、スイミー1匹だけが真っ黒ながら誰よりも泳ぐのが早かったり、ひとりぼっちになった後にクラゲやイセエビなど、知らなかった素晴らしい世界に出会ったりと、寓意はひとつに定められるものではなく、それ故に名作として語り継がれている作品です。
そんなスイミーたちが行う「群れを成して大きな魚のフリ」は「ベイト・ボール」と呼ばれる実際に小魚たちが行う防衛方法。そんなベイト・ボールの極めて印象的な動画がエジプトの紅海に面したダイビングスポット、フルガダ沖で撮影されて話題となっています。
ダイバーのTobias Sachsさんがダイビング中に遭遇したベイト・ボールは極めて小さな魚の群れで、Tobiasさんの周囲を雲のように多い、時に口を開けて飲み込むように襲いかかっている様子が見て取れます。動画は以下から。
いったいなぜこんなにベイト・ボールが明確に形成されて攻撃的とも見える動きをしているかは動画の22秒からを見ると分かります。そう、背後からジンベエザメが悠々と近づいてきていたのです。
ジンベエザメは人間にとっては危険の少ない魚ですが、海水と一緒に小魚などを吸い込み、そこからから微細な生物だけを濾し取り食べるため、こうした小魚にとってはまさに天敵です。
ベイト・ボールはまさしくこうした天敵の接近によって作られたと考えられるもの。本当の意味で「スイミー」の行動そのものが動画に映し出されていると言えるでしょう。
ファンとしては一度こんな群れに包まれてみたいところではありますが…。
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