遺体を堆肥にできる世界初の「人間コンポスト」施設が2021年に始動へ


火葬や土葬よりも環境に優しい埋葬法が遂に実現することになりました。詳細は以下から。

生あるものは必ず死ぬ。人として生まれてきた以上、いつしか誰もが死んでゆきます。ではそんな時、残された遺体をどのように埋葬するのか。近年は散骨や自然葬といった考え方も知られるようになってきましたが、よりエコフレンドリーな埋葬法に注目が集まっています。

それは遺体を微生物に分解させて堆肥にしてしまおうというもの。アメリカ合衆国シアトルを拠点とするRecompose社はワシントン州内に初となる「人間コンポスト」施設を完成させました。

これはある種の自然葬と近い発想ですが、自然葬のための土地を持たない都市部の住民のために、限られた施設で速やかに自然葬と同じように遺体を堆肥にする糊塗が可能となっています。

ここでは遺体を再利用可能な六角形の容器の中に遺体を安置。ウッドチップやアルファルファ、干し草などを被せて分解を促します。

また酸素や炭素、窒素、湿度などを調節し、高熱性バクテリアなどの働きを最適化させることで1ヶ月程度で骨や歯も含めて遺体の全てを堆肥にすることが可能。この際に49度以上の熱が発生するため、有害な病原菌などもほぼ死滅するとのことです。

ただし、現時点では狂牛病のようなプリオン病やエボラ出血熱のような極めて危険な伝染病による死者の埋葬は受け付けていません。

この「人間コンポスト」火葬と違って大量の二酸化炭素を放出せず、土葬による土壌への有害物質の溶け出しなども防ぐことができるなど、時代に合わせたエコフレンドリーな埋葬法。義肢やペースメーカー、インプラントなどの人体以外の物質は堆肥になった時点でふるい分けられ、可能なものは再利用に回されるとのこと。最終的に遺体は750リットルほどの堆肥となります。

「人間コンポスト」のお値段は5500ドル(約60万円)となっており、一般的な自然葬や伝統的な葬儀よりは安く済むケースが多いとのこと。現在は人間の遺体のみを対象としており、ペットの遺体は取り扱っていません。

遺族らはこの堆肥を持ち帰って庭の花壇や家庭菜園などに用い、新たな命を育むことができることになります。環境を汚さず、オーガニックな土に還って地球の食物連鎖のサイクルに戻る。21世紀の埋葬の新たなトレンドになるでしょうか。

・関連記事
全自動自殺機「Sarco」がアムステルダムで初の一般公開、来年より3Dプリント用データのオンライン配布も開始予定 | BUZZAP!(バザップ!)

オーランドのゲイクラブでの銃乱射事件の犠牲者の葬儀で、遺族らを守るために現れた「天使」とは? | BUZZAP!(バザップ!)

「ダウン症患者は全員安楽死させるべきだ」とFacebookで差別発言した英タレント、最長6ヶ月の実刑判決へ | BUZZAP!(バザップ!)