AIが米空軍のF-16トップパイロットを撃破、アメリカ国防高等研究計画局の空中戦シミュレーションにて


将棋や囲碁にとどまらず、戦闘機での空中戦でも人間がAIに勝てなくなる日は遠くはなさそうです。詳細は以下から。

BUZZAP!では3年前にGoogleのAI「AlphaG0」が囲碁で人間に完勝したニュースを伝えましたが、今度は戦闘機での空中戦でAIが米空軍のエースパイロットを撃破です。

これはDARPA(アメリカ国防高等研究計画局)が、AIと人間の共同作業によって空中戦のリスクを軽減し、成功率を高めるためのAir Combat Evolution(ACE)プログラムの一環として実施したもの。

3日間に渡るAlphaDogfight Trialsの初日と2日目はプログラムに参加した8つのAIによって競われました。これは1対1の空中戦で、機体前部に備えられた銃を使ったドッグファイトという古式ゆかしい戦闘形式によるもの。

プログラムは2019年9月に開始されたもので、8つの企業によるチームが参加してAIの開発をスタート。それぞれのバックには、F-22やF-35を生み出したロッキード・マーティン社を含む軍事産業や学術研究機関、ゲーム会社などがついていました。

ですが、これらの並みいるAIを打ち破り、勝ち残ったのはメリーランド州の女性オーナーによる小さな会社、Heron社でした。

Heron社の同プロジェクトの共同代表者のBen Bell氏は「初日の1週間前でもうちのAIはいい成績じゃなかったんだ。でもそこから方向転換してナンバーワンになれたんだよ」と述べています。

トライアル最終日にHeron社のAI、コールサイン「Falco」はアメリカ空軍兵器学校 (USAF Weapons School)を卒業した米空軍のF-16パイロット、コールサイン「Banger」を撃墜。

「Falco」は極めて攻撃的なAIで、頻繁な転回で「Banger」を出し抜き、なんと5戦5勝で完全撃破してしまいました。

なおAI側はこの戦闘の内容から学習することは認められておらず、また人類が耐えられない加速度Gに達しないといった制約を課された上での勝利であることに注意が必要です。

このプログラムDARPAのJustin Mock氏は結果に対し、AIがナノ秒単位での決定や調整が可能であると同時に「超人的な射撃能力を示した」と評価しています。この3日間に関しては5時間にわたる動画が公開されています。


AIが実際の戦争で大きな役割を担う日も遠くはないのかもしれません。

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