人の間と書いて人間。それほどに他の人との関わり合いは人間存在の本質です。
そんな中でも多くの人に重要な愛情や友情がどんな相手との間に生まれ、育まれるかに男女差があることが分かりました。詳細は以下から。
オックスフォード大学で進化心理学を教えるRobin I. M. Dunbar教授らがジャーナル「daptive Human Behavior and Physiology」に発表した研究によると、愛情や友情をはぐくむ相手を選ぶ際に何を重視するかに男女差があるということです。
Dunbar教授によると、親しい関係性を築く際に男女とも最も共通しているのが「類似性」です。これは誰しもがどこか自分と似通っている、共通点のある人と親しくなりやすいということ。
その上でどんな類似点を重視するかに男女差があると考え、18歳から80歳までの男女260人を対象にオンラインでの調査を行いました。
被験者は恋人(パートナー)と一番の親友について親密度を評価し、知性や親切さ、スポーツへの熱度など13項目を採点。その上で各類似性が親密度にどう影響しているかの男女差を検証しました。
その結果、まず恋人については女性が男性よりも広く類似性を求めていると示されました。女性はふたりが経済観念、信頼性、社交性、親切さで似ていると感じた時に高い親密さを感じていました。
一方男性では、恋人とどれだけ似ているかが親密度には特別リンクしていないことが分かりました。
友情に関しては男女間で大きな差が見られました。女性の友情は親友との間で教育やユーモア、幸福などの関係そのものの質に影響する要素で似ている時に最も親密になりました。
これに対し、男性の友情は経済観念や社交性、社会的なつながりといった社会活動に影響する要素が似ている時に最も親密になったのです。
Dunbar教授は女性が一対一の関係性を重視する傾向にあり、男性がグループを作りたがる傾向を反映しているのではないかと指摘しています。
また恋人がいる割合は男女とも同じでしたが、親友がいるのは女性98%に対し男性は85%にとどまりました。恋人はいても親友がいないパターンは男性が女性より多くなっています。
Dunbar教授はこの結果を先行研究でも示された「男性は軽い友人関係の集団を作りがちで、女性は小さな集団の中により親密な相手を見つける」という傾向に沿ったものだと指摘します。
こうした性差はジェンダー意識なども含めた社会化以前の幼児にも見られる他、現生の猿や類人猿にも見られるとのことです。
なお、研究者らはこうした性差は絶対的な断絶ではなく、男女の間で連続的に重なり合うものだと強く指摘します。
またこうした傾向は性差だけでなく個人差が大きな役割を果たし、成長して社会化される中でも揺れ動くもの。どの要素がどれくらい変化するかもまだよく分かっていません。その上で、絶対に特定のイデオロギーを前提に仮説を立ててはいけないと釘をさしています。
確かにジェンダーに関わる非常に微妙な分野の研究ですが、異性の考えが分からないと悩む人は、相手が自分と同じではない可能性をじっくり考えてみてもよいかもしれません。
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