新型コロナで脳の灰白質が減少する可能性、たとえ軽症であっても


ただの風邪にはあまり見られない、匂いや味の喪失といった神経症状が多数報告されている原因の可能性もあるとのこと。詳細は以下から。

新型コロナの症状として発熱や肺炎に加えて有名なのが匂いや味がしなくなるというもの。このためウイルスが脳に影響を与えていることが指摘されてきましたが、新たな研究で脳の灰白質の減少が報告されています。

これは現時点では未査読の「medRxiv」に発表された論文で、オックスフォード大学とインペリアル・カレッジ・ロンドンの研究者らが新型コロナ感染前後の数百人分の脳のMRI画像を比較。

その結果、症状が軽いか重篤かに関わらず、新型コロナに感染した人の脳の、大脳皮質や小脳皮質を形づくる灰白質が減少していたことが報告されました。

研究ではコロナ以前に行われたUK Biobankの調査で脳のMRI画像を撮影した被験者から782人を招き再スキャン。そのうち394人が新型コロナに感染し、388人は未感染でした。

比較すると、新型コロナの感染者の左の海馬傍回、左の眼窩前頭皮質の側面、左の島皮質で灰白質の減少が見られました。

また皮質全体で見ると、減少は前帯状皮質縁上回側頭極にまで及んでいたことが分かっています。

注目すべきことに、入院を擁した重症患者15人と軽症患者379人で比較した時は大きな違いがありませんでした。つまり、症状の重さに関わらず灰白質の減少が起こっていたことになります。

研究チームは嗅覚神経や嗅球を経由して病気(もしくはウイルス本体)が中枢神経系に侵入した可能性を指摘しています。

最初に述べたように、この研究は現時点では査読を受けておらず、今後さらなる調査が必須なもの。とはいえコロナ前の脳のMRI画像との比較のため、荒唐無稽と一蹴するのも危険。

軽症でも長く後遺症に悩まされている人が大勢いることを考えれば、やはりただの風邪と侮るのは得策ではなさそうです。

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