好きな音楽で心を落ち着かせ、そのままベッドで眠りに落ちる。
リラックスできるすてきな習慣に見えますが、睡眠自体にはよくないことが分かりました。詳細は以下から。
眠る前に好きな音楽を聴く。そんな贅沢な時間が睡眠の質を悪化させてしまうというショッキングな研究が「Psychological Science」に掲載されました。
研究によると、眠る直前に聴いた音楽が耳に残り続ける、俗に「脳内ループ」と呼ばれるような状態が起こって睡眠の質に影響するとのこと。
脳内ループは人によって起こりやすさが違い、また特にビートが速かったりメロディの際だった音楽を聴いた際に起こりやすくなるとしています。
現代では、音楽業界が若い人の好む音楽を中心にアップビートでキャッチーな楽曲を送り出し続けているため、こうしたジャンルや曲に触れている層により影響するとのこと。メロディやビートのないアンビエント・ミュージックなどではそこまで影響はなさそうです。
調査を行った199人のアメリカ人被験者らの33%が、眠ろうとしている時、夜中に目が覚めた時、朝起きた時などの就寝前後に脳内ループを経験していました。
また音楽をよく聴く人ほど脳内ループが起こりやすく、興味深いことにこの脳内ループを原因とする睡眠の質の悪さに悩まされていました。「ピッツバーグ睡眠質問票」という指標では、睡眠関連の脳内ループのある人は54%もスコアが低くなっています。
続けて48人の被験者らに脳波や血中酸素濃度、呼吸パターン、心拍数、身体や眼球の動きなどの測定を含む睡眠ポリグラフ検査を一晩にわたって実施。全ての被験者は眠る30分前に3曲の有名ポップソングの歌詞ありとなし版をランダムに割り当てられて聴かされます。
翌朝、起床の10分後に脳内ループが発生しているか、また就寝前や夜中に起きた時、朝起きた時に脳内ループがあったかを質問されます。
睡眠ポリグラフ検査の結果、歌詞のない版を聴いた被験者の睡眠の質は、歌詞あり版を聴いた被験者よりも特徴的に悪いことが判明。特に睡眠効率や入眠に問題があったことが分かりました。
また脳内ループが起こった被験者の睡眠の質も悪く、特に睡眠効率や入眠、夜間の覚醒、そして深い眠りから浅い眠りへのシフトで問題が起こっていました。
研究を主導したSleep Neuroscience and Cognition Labの主席研究員でもあるベイラー大学のMichael K. Scullin助教は「これは睡眠関連の脳内ループにだけ起こる効果で、起きてから10分後の脳内ループではこうした影響は見られない」としています。
最後の研究では、研究室の持つ脳波データを分析し、睡眠時に脳内ループの発生している睡眠者では、前頭葉の低速振動が大きくなっていることを発見。
こうした振動は記憶の定着に関する研究でも報告されており、脳内ループは脳が睡眠中に自動的にメロディーを再生することで情報を大脳皮質のネットワークに伝達しようとしているためと考えられるとのこと。
つまり、眠っている間にも楽曲の情報を記憶として定着させるため、脳が働いているということになります。
音楽の演奏などのために、楽曲を記憶に定着させたいのであればむしろ有効な手段と言えるのかも知れませんが、睡眠の質を犠牲にしている可能性もあるため、どちらを取るかは考えどころと言えそうです。
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