超高速通信を実現する一方で基地局1台あたりのカバーエリアがあまりにも狭く、普及は到底困難と思われていたミリ波を生かすことにKDDIが成功しました。詳細は以下から。
KDDIと京セラのプレスリリースによると、両社はミリ波(28GHz帯)のエリアを効率的に拡張する無線中継技術を開発することに世界で初めて成功したそうです。
今回新たに開発されたのはアンテナすべてに送受信できる機能を実装した中継器。必要に応じて動的に役割を切り替えることで……
途中に遮蔽物があっても、別の中継器を経由して基地局の電波を届かせることができます。
分かりやすく言うと、現在主流のSub6より高速・大容量なミリ波の5Gを用いて「面」でエリアを構成できるわけです。
中継器は縦216mm×横216mm×高さ246mmで、重さ4.9kg。一般的なミリ波用の基地局に比べて7割ほど小さくて軽いため「膨大な量の基地局を敷設する必要がある」というミリ波の弱点を補うことができます。
西新宿のビル街に合計22台の中継器を設置したところ、同一基地局の電波と干渉することなく道路のカバー率を33%から99%まで拡張できたとされています。
なお、両社は2025年3月31日まで実証実験を継続し、2025年度の実用化を目指すとのこと。
通信量が膨れ上がる繁華街や駅、スタジアムなどで高速かつ安定した通信サービスを提供できる手段、そして6Gのインフラとして期待されてきたものの、遮蔽物に弱くカバーエリアの狭さがネックとなってきたミリ波を、ようやく活用できることになりそうです。
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