重症のALS患者、脳へのインプラント手術によって「考えるだけ」でコミュニケーション可能に

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まったく身体を動かすことのできないALS患者が外界とのコミュニケーションを再び行えるようになりました。詳細は以下から。

2014年に世界中のセレブたちを巻き込んで一大旋風を起こしたアイスバケツチャレンジで認知度が大きく高まった筋委縮性側策硬化症(ALS)。このチャレンジによる寄付によって後に原因遺伝子が特定されるなど、治療に向けた研究が進んでいます。

ただし、現在ではまだ治療法は確立されておらず、患者は厳しい生活を余儀なくされています。そうした状況の中、身体の全てを動かせなくなった重症患者の女性が脳にインプラント手術を受け、再び外界とコミュニケーションが可能になりました。

この女性はオランダ人のHanneke de Bruijneさん。2008年にALSを発症し、その後全身の筋肉を動かすことができなくなってしまいました。途中までは(ホーキング博士が使用しているような)眼球を動かして文字を入力するデバイスを用いていましたが、現在では眼球を動かす事もできなくなっています。

ユトレヒト医科大学のNick Ramsay博士はいかなる物理的な動きにも頼らないシステムを構築すべく、Hanneke de Bruijneさんに対し、脳の運動を司る運動皮質と呼ばれる部分に2本の電極を埋め込むインプラント手術を実施しました。

この電極のひとつは右手の動きを司る部分、もうひとつは逆算を行う時に活性化する部分にペースメーカーのように設置されました。この電極はワイヤレスで外部のモニターに信号を送り、脳で考えたことをカーソルの移動やクリックに変換します。

これによってHanneke de Bruijneさんは脳で考えただけで文字を選んで単語を構成し、外界と再びコミュニケーションを取ることができるようになりました。手術後すぐは1つの文字を選ぶのに50秒程度掛かっていましたが、トレーニングの結果、今は1分間に2つから3つの文字を選べるようになっています。

また、このシステムは研究機関の中に限らず自宅でも使用でき、専門家による頻繁なメンテナンスも必要ありません。

Locked-in woman communicates via brain implant – YouTube

世界で初めての試みとのことですが、脳と外界を接続するデバイスの大きなブレイクスルーと言えそうです。電脳・擬体の世界に一歩ずつ近づいていると言えるのではないでしょうか?

This world-first brain implant is letting a ‘locked-in’ woman communicate – ScienceAlert

First home brain implant lets ‘locked-in’ woman communicate _ New Scientist

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