「現代の女子高生と同じ姿」と話題の1932年の少女たち、どの程度のレアケースだったのか?

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84年前の日本で、どれくらいの少女があのような女学生だったのでしょうか?

ネットで現在話題となっているYouTubeにアップされた「Cruise to Japan in 1932日本へのクルーズ」と題された1本の動画。元々は「JAPAN LAND OF THE CHERRY BLOSSOMS」と題された海外に日本を紹介する短編映画と思われる作品です。

この動画自体、極めて資料的価値の高い作品として興味深いものなのですが、この動画の2分49秒から2分54秒の間に映るふたりの女学生と思われる少女の服装が現代の女子高生だと言ってもまったく違和感のない姿であるとネット上で大きな話題となっています。

セーラー服のような制服のスカートは膝上で、黒いタイツを身につけています。ひとりは口元をハンカチで隠しており、全体的に純朴なイメージはありますが、たしかに現代の女子高生の格好と極めて似通っています。動画は以下から。

Cruise to Japan in 1932 日本へのクルーズ – YouTube

では、この時代にこのような女学生はどの程度一般的だったのでしょうか?それとも滅多に見ないレアケースだからこそこうして映像に登場したのでしょうか?見た目からは尋常小学校の児童には見えないため、高等女学校の生徒であると仮定して調べてみましょう。

政府資料から読み解いてみます。文部科学省のHPに掲載されている文部省調査局(当時)が編集・監修をおこなった「日本の成長と教育」(昭和37年度)の記述を見てみると「第2章 教育の普及と社会.経済の発展 2 わが国の教育普及の史的考察 (3) 中等教育の普及と女子教育の振興」に戦前の中等教育と女子教育の歴史が描かれています。「中等教育機関への進学率」とされた表を見てみます。

ということで、1930年の女子の進学率が15.5%、1935年には16.5%となっていることから、1932年で考えるとおよそ16%と見ることができそうです。これは6人にひとりの割合。また、同書の記述によると


この進学率の伸びは,わが国における工業化の進展と,ほぼ対応している。このような関係を地域別にみると,東京と大阪は,昔も今も,合わせてわが国工業生産高の約3割を占めて,東西における商工業の中心であるが,その進学率は,明治28年(1895)にすでに東京が27.1%,大阪が14.0%で高く,昭和35年現在においても,男子の進学率は79.4%(東京),71.2%(大阪)と全国の1~2位を争っている。

これに対して,高知・宮崎・鹿児島は工業化の速度の相対的緩慢さが,進学率の増大の歩みを比較的鈍らせた事例であろう。高知の場合,進学率は明治28年(1895)の10.9%から大正14年(1925)の15%へとあまり伸びず,昭和10年(1935)には13%とやや低下している。宮崎・鹿児島でも同様な傾向がみられ,昭和初期の不況時に3県とも進学率が一時停滞しているのは意味深い。

とあります。東京では1895年段階で既に男女平均で27.1%と全国平均の7倍近く、4人にひとりを超えている一方、高知では1935年段階でも13%程度に留まっていることが示されており、この頃から地方格差が歴然と存在していたことが伺えます。

動画の女学生の背景は前後のシーンと共に都市部の繁華街と見られるもの。仮に東京であるとすれば、全国平均よりは比較的珍しくはなかったと考えられますが、それでもまだ数人にひとりといった程度。地方に行けばいくほど中等教育への進学率は下がり、女子進学率は平均よりも男子よりも5%前後低くなっていたと見るのが妥当でしょう。

高校進学が極めて一般的となった現代から比べると、こうした女学生の存在はまだまだマイナーであり、都市部と地方ではその割合にも大きな差があったことが分かります。広島の海苔師の娘であれば尋常小学校を出た後に家業を助けるといったように、若いうちから労働力となっていたケースの方がよりメジャーであったということができるでしょう。

84年前の少女たちが「今の女子高生と同じ姿」と衝撃走る(動画)

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