通称メガネケース、フィーチャーフォンのような2つ折りやスライド式、QWERTYキーボード搭載、2画面モデルなど、黎明期にはさまざまなバリエーションがあったにもかかわらず、気が付けばiPhoneやGalaxyに代表される「一枚板」のみとなってしまったスマートフォン。
しかし、今こそ「一枚板」を脱したモデルを出すべきではないか……という話をお届けします。
◆「あの」ARROWSすらも安定、今やばらつきは無くなりつつあるAndroid
かつてAndroidスマートフォンはメーカーごとに性能や完成度のばらつきが激しく、「デザインが良くても性能が……」「同じ性能でもこのメーカー製は……」というケースも多々ありましたが、それが大きく転換したのが2013年冬モデル。
NTTドコモ・KDDI・ソフトバンクモバイルからリリースされた各モデルが基本的に「Snapdragon 800、2GB RAM、Android 4.2以上」という最先端の性能を採用したことで、どのメーカーのスマホを選んでも、性能面での不安は無くなりました。
また、高いカタログスペックの一方で、本体の異様な発熱や不具合を繰り返し、訴訟沙汰にまで発展していた富士通のARROWSシリーズもついに安定し、2013年冬モデル以降はもはや別物に。つまり今やスマホは本当の意味でメーカー間のばらつきがばらつきが無くなりつつあるわけです。
完全に生まれ変わったレスポンス、ARROWS NX F-05Fをざっと触ってみた - YouTube
◆成熟しきった今こそ多様性が必要ではないか
このように同じ形状、ほぼ同じスペック、同じOS、同じ安定性……という方向に進化し、成熟した感のあるAndroidスマートフォンですが、だからこそ求めたいのが多様性。
ハードウェア、ソフトウェア双方共に成熟しきった今だからこそ、ユーザーの利用スタイルなどに合わせた「変態スマホ」が出てもいいのではないでしょうか。
かつて発売された変態スマホの一例。まずは2011年晩夏発売の「REGZA Phone IS11T」を最後にリリースされなくなったスライド式QWERTYキーボード搭載スマホ。文字の打ちやすさからSNSやテキストチャットなどでのコミュニケーションを多用するユーザーに優しいモデルでした。
こちらは2012年夏で打ち止めとなったテンキー搭載スマホ。前述のQWERTYキーボードスマホと並び、デュアルコア以上のプロセッサが搭載されることはなく、あくまでライトユーザー向けという位置付けに。
そして最後にリリースされた一枚板以外のスマホが、2013年春発売の「MEDIAS W」。なんと「2画面+折りたたみ」という変態っぷりです。
上画面を見ながら下画面で文字が打てるなど、QWERTYキーボード難民にとって希望となりえたかもしれない同モデル。
コンセプトは決して悪くありませんでしたが、Xperia Zなどのハイエンドモデルで「APQ8064(クアッドコア、1.5GHz)」と2GB RAM搭載が当たり前になった中で、「MSM8690(デュアルコア、1.5GHz)」、1GBメモリという一世代前のスペックでした。
最先端のものを求める(いわゆるギーク)層にピッタリのコンセプトであるにもかかわらず、性能は微妙、しかも奇抜なコンセプト故に一般層は寄りつかない……という中途半端さに、現場の記者から「なんでこのスペックで出したのか分からない」と酷評されていましたが、ハイエンドモデルと同じスペックであれば評価は変わったのではないでしょうか。
◆携帯電話会社は夢を見させるべきではないか
経営面で考えれば、スマホが3機種しか出なかったソフトバンクの2013年冬モデルのように、安定して売れるiPhoneと絞りきったAndroid数機種のラインナップにとどめるのが携帯電話会社にとって最も賢い選択であり、数が売れず、収益性の低い変態スマホは確かに不要だと思われます。
しかし日本の携帯電話会社はフィーチャーフォン時代、製品群の成熟によるマンネリ化を避けるために個性豊かなモデルを出してきたのも事実。「au design project」や「インターネットマシン」など、既存の携帯電話の枠組みから外れた面白い製品が生まれていました。
携帯各社が冒険しなくなった中、かなり頑張った感のあるのがauの2014年春モデル「G Flex」。新しいカテゴリ「ファブレット」を訴求するために「Xperia Z Ultra」と共に発売されましたが、曲面ディスプレイを採用するなどキワモノ感が強く、開発したLGのお膝元、韓国でも「商業的には失敗」と言われるほどでした。
もちろん「G Flex」の売れ行きは国内でも芳しくなかったわけですが、かといってこのような奇抜な端末を不要と結論づけるのは早計であり、ありきたりな形状のスマホばかりの中、ユーザーに「夢」を見させるためには必要だったのではないでしょうか。
国内メーカーが弱体化してしまい、携帯電話会社と共に新機種を開発するサイクルは成り立たなくなりつつある昨今とはいえ、やはり多様性のためにも、携帯電話会社には「ひと味違ったもの」を出し続けて欲しいところです。
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