ナショナルジオグラフィック紙の日本語版が最新の2015年6月号で「マリファナ 秘められた力」と題して大麻特集を掲載しています。詳細は以下から。
5月31日に発売された日本語版ナショナルジオグラフィック紙の最新号。表紙をひと目見て分かるように「マリファナ 秘められた力」という題名で24ページにも渡って大麻を特集しています。
ここで主に扱われているのは最近合法化の続いている嗜好用大麻ではなく医療大麻。遊びのためではなく真剣に大麻を治療のために用いようとする人々、そして研究する人々にスポットが当てられています。
特集の冒頭では大麻と人間が少なくとも5000年の関わりを持ち、歴史の中で医療用に用いられてきたこと、同時に1930年代後半から違法化されたことに触れつつ、近年にはアメリカ合衆国のビベク・マーシー公衆衛生局長官が大麻がある種の病気の症状に有効である可能性が示唆されたとして大麻研究の進展に注目したいと発言したことを紹介しています。
特集では1963年から研究を始めた現代の大麻研究の第一人者であるイスラエルのヘブライ大学ハダサ医学大学院のラファエル・メコーラム名誉教授にインタビュー。メコーラム教授は大麻の有効成分として有名なTHCに加え、医療大麻で様々な用途が発見されているCBDの構造を明らかにしています。
メコーラム教授は大麻を「秘薬の宝庫」と呼び、いまだに多くの医療に役立つ有効成分が発見されずに眠っていると指摘します。
特集ではこの他、大麻の有効成分が既存の抗がん剤と併用することでがん治療に一定の効果を持ちうること、てんかんの子供の症状を抑えるために実際に行われている治療、繊維や土壌改良に役立つヘンプと呼ばれる麻の研究についてなど、非常に興味深い内容が並んでいます。
これまで日本では警察庁による「ダメ・ゼッタイ」とのキャンペーンで覚せい剤や麻薬と同一視され、何があっても触れてはならないドラッグのひとつであるとの誤解が広められ続けてきました。
そして、こうしたキャンペーンに対向する側も「大麻は奇跡の万能薬」などと大げさに煽るような論調が多く、実際の薬効や危険性についての具体的で冷静な議論が行われてこなかったという残念な経緯があります。
ナショナルジオグラフィック紙の今回の特集はそのどちらの立場にも寄ることがなく、あくまで現在アメリカ合衆国の置かれている状況や世界の大麻研究の実績というファクトに光を当てることによって、よりフラットな視線で大麻とは何か、どれほど危険性があり、どれほど医薬品として役に立ちうるかを明瞭に示しています。
医療費の増大に悩む超高齢化社会を抱える日本にとって、この大麻という植物は将来的には忌み嫌うべきドラッグではなく、社会を支える医薬品となってくるかもしれません。こうした特集が日本語で出版されることで先入観を廃した真摯な議論が始まることを切に願います。
なお、「マリファナ 秘められた力」の掲載されたナショナルジオグラフィック紙は以下から購入可能です。
日経ナショナルジオグラフィック社 (2015-05-30)
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