高性能なモバイル向けプロセッサ「Tegra」シリーズを手がけるNVIDIAがスマートフォンから撤退します。詳細は以下から。
【後藤弘茂のWeekly海外ニュース】CPUコアとプロセス技術の移行を進めるNVIDIAの戦略 - PC Watch
インプレスが報じたところによると、NVIDIAの代表Jen-Hsun Huang氏が6月に開催された「COMPUTEX」の際に、以下のように述べ、強力な競争相手がいるスマホ市場から退くことや、すでにモデム技術の開発を止めると決定したことを明かしたそうです。
「我々は、電話(スマートフォンなど)はもうこれ以上やらないと決定した。その理由は、私が、電話は、既にほぼ終わっていると考えているからだ。電話は既に日用品となってしまっている。もちろん、私も電話を毎日使う。しかし、その市場に貢献しようという強い欲求は感じない。なぜなら、既にこの市場には強力な競争相手が多数いるからだ。
そのため、我々の今の電話戦略は、我々が作り上げた世界最上のGPU技術を、誰でも望んでいるメーカーにライセンスすることだ。だが、我々自身が電話を作るべき理由は何もない。また、それが、我々が無線モデム技術開発を止めると決定した理由の1つでもある」
NVIDIAのTegraシリーズはかねてから「Snapdragon以外の選択肢」として有力視されていたものの、Tegra 3と自社開発モデムを採用した富士通製の2012年夏モデルスマホ「ARROWS X F-10D」が恐ろしいほど発熱する事態に。
発熱や不具合の連発は訴訟沙汰にまで発展し、富士通製スマホの評判を地に落としたことは記憶に新しいですが、一方でTegra 3がGoogleの「Nexus 7」に採用されるなど、タブレット分野では比較的安定して採用されていました。
しかしスマホ向けの需要は伸びず、2013年にはLTEモデムを統合した「Tegra 4i」を発表したものの、状況が改善する気配は一向に無かったため、今回の決定はやむを得ないものだと思われます。
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