政府が鳴り物入りで進めている「携帯電話料金引き下げ」に対し、ドコモがいち早く対応します。詳細は以下から。
◆MNP利用者への割引、大半が廃止および見直しへ
NHKの報道によると、NTTドコモがMNPで乗り換えたユーザーに対して提供しているキャッシュバックを廃止する方針を固めたそうです。
これは総務省の有識者会議がキャッシュバックの原資が長期利用者の通信料金であることを挙げて「乗り換える利用者だけを優遇し、不公平だ」と指摘していることを受けたもの。
ドコモは今後、全国2400にのぼる全国の販売代理店への監督や指導を通じて徹底させるほか、乗り換える利用者を対象にスマホ本体代金を「実質0円」で販売する手法についても一部見直すとしています。
ドコモ 他社から乗り換えのキャッシュバック廃止へ NHKニュース
◆「販売奨励金に上限を設ける」という話から一転
11月には高市早苗総務相が「過度な端末の値引き競争に対しては一定の歯止めをかけるべき」として、MNP利用者に対して行われている端末代割引の原資となる販売奨励金に上限を設ける方針を示していましたが、端末代の割引に上限が設けられるどころか、割引の大半が無くなってしまう形となりかねないドコモの施策。
監督官庁の意向をくむ形で最大手のドコモがこのようなやり方を示した以上、KDDIやソフトバンクも追従せざるを得ないと思われますが、かといって現行の通信料金がキャッシュバックや端末の特別割引を含めた分だけ安くなるのかは怪しく、端末代が高騰した分、総支払額が上がるだけなのでは……という気がしてなりません。
総務省で開催された第1回「携帯電話の料金その他の提供条件に関するタスクフォース」で配布された資料。「携帯電話料金全体の値下げという話ではない ユーザー間の行きすぎた不公平性の是正がポイント」と銘打たれており、今回行われている議論が、そもそも携帯電話料金全体を下げるためのものでないことが明示されていました。
MNPを利用するメリットが薄れることで、ユーザーが離れにくくなるのであれば、競争が停滞し、携帯電話会社側が積極的に料金を下げる必要も無くなるのではないかという懸念すら生まれる各種割引の廃止。
その場合最も喜ぶのは、長年続く他社への流出を食い止めるために費やしてきた数千億円の販売促進費を浮かせることができるドコモではないでしょうか。
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