【追記あり】「この世界の片隅に」展が日本映画発祥の地、京都木屋町の立誠シネマでスタート、映画も絶賛上映中


日本映画発祥の地、京都の洛中でも「この世界の片隅に」が遂に動き始めました。

日本に映画という芸術のジャンルが初上陸したのは1897年(明治30年)のこと。前年にパリで開催されていた万国博覧会を訪れた実業家の稲畑勝太郎がリュミエール兄弟のシネマトグラフを持ち帰り、京都電燈株式会社の中庭で国内初の試写実験に成功しました。

この場所は1928年(昭和3年)に立誠小学校となりますが、1994年(平成4年)に閉校。以降は「元・立誠小学校」として地元主催の催しをはじめ、演劇、音楽、展覧会やフリーマーケット等のイベントが多く開催されています。

この元・立誠小学校の3階に位置するのが立誠シネマ。京都市とシマフィルムが主催し、立誠・文化のまち運営委員会が共催して、ミニシアター系の映画を中心にほぼ毎日複数の作品が上映されています。

この立誠シネマで2017年1月4日から「この世界の片隅に」の上映が始まることが告知され、同時に「この世界の片隅に」に関する展示が始まっていることが公式ツイッターアカウントで公表されました。


これまで「この世界の片隅に」は京都府内ではイオンシネマ桂川のみでの上映でしたが、年明けからイオンシネマ久御山、イオンシネマ高の原で、2月から福知山シネマでの上映が決定し、京都の洛中でもようやく立誠シネマで見ることができるようになります。

立誠シネマは京都市の中でも祇園や河原町といった繁華街のど真ん中、木屋町通に面しており、阪急京都線の終点河原町駅から徒歩3分、京阪線の祇園四条駅からも徒歩5分という絶好のロケーションに位置しています。そしてすずさんより2歳年下の昭和2年(1927年)に建物が建設されており、その歴史を感じさせる重厚も極めて魅力的です。


ということで、実際に立誠シネマを訪れて「現状はまだ序章」という展示を見せて頂くことにしました。

こちらが元・立誠小学校の入口。夜は酔客で賑わう繁華街の木屋町通ですが、昼間は桜の季節を除けばゆったりとした時間が流れています。

オープンエアの座席は元・立誠小学校を入ってすぐのTraveling Coffeeのもの。ここはゆったりできて美味しいコーヒーやお酒も飲めます。

ちょうどロンドンパンク誕生40周年を記念したパンクアートエキシビジョン「Punks Not Dead」が開催されていました(入場はワンドリンク制)。こちらは12月4日まで。
主演ののんさんに似ていると話題のジョン・ライドンもいました。

Travering Coffeeの入口に向かって左側の階段に向かいます。途中には卒業写真を集めたコーナーも。
階段の重厚さがまたたまりません。

掲示板に上映作品が掲示されています。「この世界の片隅に」もしっかり貼られています。

南向きの窓から見える運動場。

なお、立誠シネマはいわゆる「廃校になった小学校を再利用」した施設内に位置するため、エレベーターや手すり、スロープなどはなく、バリアフリーではありません。車椅子の方や足の悪い方が訪れるのは正直なところ簡単ではないので注意が必要です。

こちらが3階。大きなポスターと立誠シネマの看板。手づくり感とミニシアター感がぐっときます。とてもぐっときます。
突き当たりの扉を開けるとそこは元々は教室だった立誠シネマのロビー。パンフレットや書籍など各種取り揃えられています。

こちらが「この世界の片隅に」の展示コーナー。現時点ではまだまだ小さいものですが、これから1ヶ月を掛けて徐々に広げてゆくとのこと。

立誠シネマのオリジナルのパネルが多数(これからもっと増えます)あります。

「この世界の片隅に」を特集した雑誌を始めとする関連書籍も揃えられており、もちろんすずさんの等身大パネルもあります。すずさんは小まいのう。

クラウドファンディングに間に合わなかったファンには垂涎の特典「すずさんからの手紙」も並んでいます。これは現物を見るとうるっときてしまいますね。なお、基本的にこれらの展示物は撮影もOKとのことです。

展示物の中にはスタッフの方の私物も含まれているとのことで、立誠シネマの「この世界の片隅に」にかける思いの強さがひしひしと伝わってきます。立誠シネマの方からもお話を聞きましたが、この映画を多くの人に見てもらうためにやれることは何でもやっていきたいとのこと。

「この世界の片隅に」はネット上でも著名人が全力でプッシュしていたり、作品の魅力を紹介するマンガをSNSで公開する絵師さんが何人もいるように、実際に鑑賞し、自分もこの映画をより多くの人に見てもらうために何かをしたいという人が数え切れない程存在しています。

筆者もそうしたひとりとしてこの記事を書いていますが、日本全国の多くの人がこの映画を広めたいという意識を共有して行動し、発信しているということに改めてはっとさせられます。

立誠シネマの中を見てみましょう。すずさんのパネルの脇から映画館内に入ります。

館内はミニシアターだけあって狭く、段差こそありますが座椅子形式の椅子が並んでいる状態で、お年寄りの来館者の中にはこの椅子で見るのは辛いという方もいるとのこと。映画館の入っている建物のそもそものつくりの問題であるにせよ、ある程度見る人を選ぶ仕様であることは訪れる前に知っておいた方がよいでしょう。

また、この元・立誠小学校のトイレは1階の中庭にある1ヶ所のみ。重厚で歴史的な建物を眺めながら歩くのは心躍る体験なのですが、立誠シネマからはちょっと遠めなのでこちらも注意。

注意点として、「この世界の片隅に」展では基本的に関連書籍の販売は行っておりません。チラ見して欲しいと思った方は、元・立誠小学校から徒歩3分の京都BALの地下1、2階の丸善で立誠シネマとコラボした「この世界の片隅に」の特設コーナーが設けられるため、こちらでお買い上げ頂くことになるとのこと。以前BUZZAP!でも取り上げた梶井基次郎の「檸檬」の丸善です。

立誠シネマでは今後も「この世界の片隅に」に絡んだ企画や催しが出てきそうですので要注目です。TwitterFacebookでも情報発信が盛んに行われているため、関西のファンはぜひフォローしてチェックしてみてください。

【追記】
上映時間などの情報は以下の公式サイトから確認できます。また、ヴィレッジ・ヴァンガード新京極店とのコラボキャンペーンや1月28日に開催される片渕須直監督トークイベントについての情報も掲載されています。

また、トークイベントと同日には京都の老舗ミニシアター、京都みなみ会館で「片渕須直監督特集ナイト」として片渕監督の過去作品のオールナイト上映会も行われます(前売りは既に完売)。

立誠シネマプロジェクト|京都・木屋町通、元・立誠小学校のシアター


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