木材を鋼鉄並に強く、硬くする技術が開発される


実現すれば木材の用途が革命的に広がることになりそうです。詳細は以下から。

日本では建材として一般的な木材。ですが、京都や奈良の寺院のような巨大な建造物を建てるには特殊な技術や樹齢数百年クラスの樹木が必要となるなど、大きな困難が伴います。

ですが、新しく開発された技術を用いれば、木材が鋼のような強度を獲得できることになるとのこと。メリーランド大学のLiangbing Hu博士らがジャーナルNatureに発表した研究によると、特別な化学物質を用いて処理を施した後に熱を加えて圧縮することで、化学物質が木材を強靱な素材へと変貌させるとのこと。

この強化木材は自然の木の12倍の強さと10倍の頑強さを併せ持っています。Hu博士によると、この強度は鋼鉄やチタン合金にも匹敵するもので、カーボンファイバーにも比肩しうるものの、値段ははるかに安価です。

なお、この強化木材は鋼鉄と同等の硬さながら軽さは1/6程度で、破砕するには自然の木の10倍のエネルギーが必要とのこと。そして強化プロセスの最初の段階で折り曲げたり形取ったりする事も可能。

加工のプロセスは大きく分けてふたつ。最初はパルプを作る時と似ており、水酸化ナトリウムと亜硫酸ナトリウムで煮沸します。

次に圧を加えて木材の細胞壁を押し潰します。この圧縮の際に熱が加えられることで化学物質が接着します。これらのプロセスの中で木材の中のある種のポリマーが取り除かれますが、木材の強度に影響するポリマーは保持されます。

強度が増大する要因となるのは多量の水素原子が元々の木材の構造に存在するセルロースのナノファイバーに接着すること。化学反応は複雑ですが、そのプロセス自体は単純で安価です。

また、このプロセスは複数の異なった種類の木材で発生する事が確認されており、様々な場面で鋼鉄やチタン合金の代替品として使用できる可能性があります。

強化木材は強く、頑強で軽い上に高密度で圧迫や引っかきへの耐性があり、しかも湿度にも強いとのこと。建材としてはもちろん自動車や航空機の部品としても使用できる可能性が高い他、バルサや松といった柔らかい木材を強化することでチーク材のように家具としても用いる事ができるとのこと。

まだまだ実用化にはスケールの拡大と処理に掛かる時間の短縮などの課題が残されていますが、安価で鋼鉄並の強度を誇って非常に軽い建材を栽培することができるようになれば、世界の産業構造にも大きな影響を与えることになるかもしれません。

最新式のEVや航空機が木で作られるというロマンのある話、果たして実現するのでしょうか?

Scientists have developed a way to make wood as strong as steel

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