2018年7月11日。
この日は日本のモバイルデバイス市場にとって非常に大きな意味を持つ日です。詳細は以下から。
10年前の今日発売されたWILLCOM D4。ウィルコムとマイクロソフト、Intel、シャープが共同開発した夢のモバイルコミュニケーションマシンです。
5インチワイド液晶(1024×600)にAtom Z520(1.33GHz)、1GBメモリ、40GBのHDD、オートフォーカス対応192万画素カメラ、ワンセグチューナーを内蔵したモデルで、当時まだその実態が知れ渡っていなかった最新OS「Windows Vista」と「Atomプロセッサ」を組み合わせた世界初の端末でした。
しかしそんな華々しい登場とは裏腹に、フタを開けてみると「Atomプロセッサでは処理能力が絶望的に足りない」「Windows Vistaで1GBメモリは無理」「モバイル端末なのにHDD内蔵」など、実用面での問題が山積。
モバイル端末なのにエヴァンゲリオンも裸足で逃げ出すバッテリー駆動時間の短さ(カタログスペックで約1.5時間)で、別売りの大容量バッテリーでようやく約4.5時間に。しかし特にパフォーマンスが快適になるわけでもないことから、「焼け石に水」感は否めませんでした。
さらに「快適に通話するには別売りのBluetoothハンドセットが必要」など、当時バリバリのW-ZERO3使いだった筆者を含む、訓練されたウィルコム信者でも擁護が難しい内容に。
Atom搭載マシンといえばすぐ後に発売された「EeePC」など、低価格モデルをイメージするところですが、Microsoft Office 2007をプリインストールしたことで本体価格が実質9万円に膨れ上がった点もWILLCOM D4の敗因だったように思われます。
ちなみに同じ2008年7月11日、ソフトバンクモバイルはAppleと組んで国内初となる「iPhone 3G」を発売。後にau(2011年)、ドコモ(2013年)を巻き込んで日本がiPhone大国になる口火が切られたのも10年前のこの日でした。
2年後にウィルコムが事業再生ADRを申請してソフトバンク傘下になること、iOSに追いつこうとAndroidの開発が進む中、マイクロソフトがモバイル向けOS戦略の致命的なミスでWindows Mobile自体がどんどん縮小し、頼みの「W-ZERO3」すら使い物にならなくなることを、当時のウィルコム信者は知る由も無かったのです……。
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