よく考えれば人口の半分に関わる話ですから当然といえば当然の話なのかもしれません。詳細は以下から。
1979年に国際連合第34回総会で採択され、1981年に発効した「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」はその名の通り女性差別の撤廃を定めた多国間条約です。
採択から40年が経ちますが、残念ながら女性差別はこの世界から消え去ってはいません。そして、各国の間でも差別の状況は大きく異なっているのが現状です。
この問題に関し、多国籍の研究者らが女性の経済的・社会的権利と国民の健康、国の発展の関連性について研究を行ったところ、非常に興味深い結果が出されました。
それによると、女性の権利が尊重されている国ほど健康増進や持続可能な開発が行われていることが分かったとのこと。
研究者らは2004年から2010年に掛けての162ヶ国の健康・人権・経済・社会的権利についての情報を分析。各国の女性の権利の尊重レベルを高い(44ヶ国)、中程度(51ヶ国)、低い(63ヶ国)に分類しました。
分析によると、一般的に経済的・社会的権利が強い国ほど健康である度合いは高いとのこと。これは人口1人当たりに使われる医療費と関係しているためと考えられます。
ですが、女性の経済的・社会的権利が尊重されている国はこれに留まりませんでした。全体として、女性の権利が強く尊重されている国は、中程度や低い国に比べて健康である度合いが高くなっていました。
こうした健康の度合いを示すものとしてはワクチン接種などの疾患予防や性と生殖に関する健康、死亡率、平均余命などが含まれます。
特に医者や医療機関へのアクセスが平均以下という発展途上国でも、女性の権利を含めた権利が強く尊重されている国においては健康である度合いは平均以上の高さが維持されていました。
一方で、経済的・社会的・文化的権利が強く尊重されていても女性の権利が守られていない国々が存在し、そうした国では健康である度合いはまちまちであるとのこと。
研究者らはジェンダー平等は女性問題ではなく開発の問題だと指摘します。
実際に人口の半分を担う女性の経済的・社会的な権利が尊重され、健康が高いレベルで維持されるのであれば、国の発展に影響を及ぼすことは間違いありません。
なお、日本は2018年に男女格差を示す「グローバル・ジェンダー・ギャップ指数」でG7最低となる149ヶ国中110位でした。特に経済は117位、政治は125位と極めて低い状態にあります。
先日の参院選での女性当選者の数は2016年と並び28人で過去最多タイとなりましたが、今後状況が改善するきっかけになるでしょうか?
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