不食を実践し、太陽光のみで生きようとしたスイス人女性が餓死


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先進国で飽食が叫ばれる中で日本でも断食ダイエットが流行りましたが、それを究極まで推し進めた「不食」の実践の中でスイス人の女性が餓死という痛ましい事態にまで至ってしまいました。

Swiss Woman Tries to Survive on Light Alone, Starves to Death Oddity Central - Collecting Oddities

食べ物は人間の体をつくる重要な要素で、不足しても過剰でも問題になります。先進国では高カロリーの食事や偏った栄養摂取から長いこと生活習慣病に悩む人が絶えず、日本でも脂肪を効率良く燃焼させると報道された食品があっという間に売り切れ、トクホのコーラが発売されるなど、多くの人にとって健康は大きな関心です。

最近はオーガニックな食材やベジタリアンフードが注目されたり断食をダイエットに組み込むなど、食べることそのものの質や量を見直す動きもクローズアップされてます。ですが、その最も極端な方法とも言える「不食」を実践していた女性が餓死という結末を迎えてしまいました。

亡くなったのはスイス人のアンナ・ガットさん。50代初頭に「In the Beginning There was Light」という、ドキュメンタリー映画を見て太陽光のみで生きるという考え方を知りました。その映画では62歳の人智学者ミッシェル・ワーナー氏と83歳のインド人ヨガ行者プララッド・ジャニ氏を主に紹介。彼らはブレスアリアニズム(人間には食物や水は必要ではなく、プラーナや日光のみで生きられる)という考え方からスピリチュアルな実践を重ね、食物の代わりに太陽光から栄養を得て生きていると主張していました。


また、アンナさんはオーストラリア人の女性、エレン・グレーブ氏の出版したブレスアリアニズムの書籍を読んでおり、その本に書かれているとおりに実践を開始。最初の一週間は食べ物も飲み物も完全に絶ち、唾さえも吐き出していたとのこと。そして次の二週間は飲み物は摂取しましたが固形の食べ物は一切口にしませんでした。

この時点で彼女が目に見えて衰弱したため、アンナさんの子供たちが心配して止めようとしましたが、アンナさんは体調が著しく悪化したら実践を中止すると約束。ですが、2011年の冬のある日、彼女は電話に出なくなり、駆けつけたところ既に死亡。検死の結果は明らかに餓死だったといいます。

なお、このエレン・グレーブ氏に関しては、彼女の主催する長期の断食セミナーで死者も出るなどして2005年の時点で既に問題になっています。

JAMS オーストラリアニュース 光を食べるカルト集団、教祖はオーストラリア人女性

西洋の医者の多くは不食は自殺行為だと考えています。摂食障害のスペシャリストであるイギリスのディー・ドーソン博士は「不食の実践者は精神的な問題を抱えていると言わざるを得ない。彼らは食べなければ餓死するということを完全に認識しているのだ。」と言いますが、プラーナや光で生きられると信じている人々は、この実践で命を落とすとしたら全くの不注意が原因でしかあり得ないと考えています。


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ただし、断食は世界中の様々な宗教で実践され続けている行のひとつ。日本でも流行に取り入れられる程の認知度を誇ります。例えばインドではヨガの修行の一環として断食も行われており、聖者と呼ばれるクラスの実践者の中には(真偽はともかく)何年も何も食べずに生きているとされている人もいます。

先に紹介したインドのプララッド・ジャニ氏も70年に渡って不食を貫いており、科学者による実験でも主張が認められるなど、ものを食べない、もしくはほとんど食べないことに関しては健康の面からも、精神的な面からもまだまだ研究の余地がありそうです。

Prahlad Jani Proves He Can Live without Food and Water Oddity Central - Collecting Oddities

ただし、極端な主張を真に受け、これまでの生活や自分の体調に無頓着なままでこうした実践に取り組むのは今回のような事故のもとになってしまいます。長年の修行の末に「不食」にたどり着くのと、素人が思いつきでやってみようとするのでは天と地ほどの違いがあります。「健康のためなら死んでもいい」という言葉もありますが、どんなやり方にせよ無理せず安全に取り入れていきたいところです。

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