下り最大3Gbpsの超高速通信「LTE-Advanced」向けの新技術登場、混雑時にも快適に通信可能



国内最速で展開したNTTドコモに続いて、3月にイー・モバイルがサービスを開始した次世代高速通信「LTE(Long Term Evolution)」。

現在、同規格の後継として、下り最大3Gbpsを実現する超高速通信「LTE-Advanced」が開発中ですが、混雑時にも快適に通信できる新技術が登場しました。

詳細は以下の通り。



次世代移動通信システムLTE-Advanced向け高性能受信方式を開発 : 富士通

富士通研究所のプレスリリースによると、同社は現行のLTEの規格上の最大速度(最大300Mbps)の10倍にあたる、最大3Gbpsを実現する次世代移動通信システム「LTE-Advanced」向けに高性能な受信方式を新開発したそうです。

LTE-Advancedでは多くのユーザーに信号を送信する場合、ユーザー数や通信量の増大に対応するために、基地局から複数ユーザー向けの信号を同じ時間・周波数で同時に送信することで周波数利用効率を向上させることが可能な「マルチユーザーMIMO技術」が導入されています。


従来の形式。それぞれの端末に異なる時間や周波数を用いて基地局と通信する仕組みであったため、効率が悪いというデメリットがありました。


そして「マルチユーザーMIMO技術」を用いて、基地局から複数のユーザー向けの信号を異なるアンテナから同じ時間・周波数で送信した場合、端末側で自分向けの信号を取り出すために、受信した信号から他ユーザー向けの信号を分離することが必要となります。

しかしLTE-Advancedの規格では、「MLD」と呼ばれる高性能な信号分離技術を利用するのに必要となる、他ユーザー向け信号の変調方式が端末に通知されない仕様を採用しているため、MLDを利用できないという課題がありました。


これを受けて富士通研究所は受信信号から他ユーザー向けの信号の変調方式を推定する新技術を開発。マルチユーザーMIMOシステムにMLD技術を適用できるようになることで、高精度な信号分離を実現しています。


得られる効果のグラフ。LTE-Advancedで用いられると想定される3種類の変調方式(QPSK、16QAM、 64QAM)を利用してもパフォーマンスが向上。シミュレーションでは多くのユーザーが同時に通信を行う状況で、通信速度が最大で約1.5倍に改善しており、大都市やイベント会場などの混雑した状況でもデータのダウンロード時間を最大約30%削減し、動画の視聴などをよりスムーズに行うことが可能になるとしています。


スマートフォンの爆発的な普及でトラフィックが増大し、通信速度に影響が出る中、非常に画期的な同技術ですが、富士通研究所は今後、推定精度のさらなる改善および小型化の検討を進め、2015年ごろの実用化を目指すとしています。

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