ソフトバンクやドコモに大きく影響、携帯電話周波数の「グループ内共同利用」実現へ


総務省が携帯電話周波数の割り当て方を見直すことで、ソフトバンクに追い風が吹くことが明らかになりました。

携帯電波、グループで共同利用 総務省が15年にも  :日本経済新聞

日本経済新聞社の報道によると、総務省はスマートフォンの通信速度を上げるため、携帯電話会社同士が電波を共同利用できるようにする検討を始め、年内にも省令を改正するそうです。従来は割り当てられた電波は自社の通信サービスに使うのが原則でしたが、改正により会社をまたいだ電波の有効活用が可能に。

特にイー・アクセスやウィルコム、ワイヤレスシティプランニングを傘下に収めるソフトバンクがグループ内の電波をかき集めて来年にも高速通信サービスを始める見通しとされています。

ちなみに2014年5月時点でグループごとに割り当てられている携帯電話向け(PHSは除く)周波数はこんな感じ。6000万契約を抱えるNTTドコモより、ソフトバンクグループのほうが割当数が多いのが現状です。

NTTドコモ:160MHz
KDDIグループ:160MHz
ソフトバンクグループ:170MHz


ソフトバンクグループにだけ追い風が吹き、グループ会社を持たないNTTドコモは割り当ての少なさもあって逆風ではないかとすら思わせる省令改正ですが、一方で総務省は電波の割り当てルールも見直す方針。

これまでは会社単位で割り当てていましたが、共同利用や貸し借りの実態、資本関係などを考慮し、グループとして必要な周波数の幅を判断することを検討しており、新たな割り当てルールは年内に予定する3.4~3.6GHz帯の割り当てから取り入れるとのこと。

ただし新方針の下、最も逼迫しているNTTドコモに優先して電波が割り当てられたとしても、WiMAXやAXGPで採用されている2.5GHz帯よりもさらに建物の中などに弱く、基地局をよりいっそうこまめに敷設しないといけない3.4~3.6GHz帯の整備には今まで以上に時間がかかるとみられます。

そのため今回検討される省令改正は長期的に見ればNTTドコモにも恩恵をもたらすものですが、やはり最も大きく恩恵を受けられるのは、すでに整備が進んでいる各社のネットワークの共同利用にすぐさま乗り出せるソフトバンクであり、有利な状況は年単位で続くと考えるべきです。

今年1月に総務省で行われた(PDFファイル)LTE-Advanced向け周波数割り当ての公開ヒアリングでNTTドコモが行った提言。周波数割り当てについてグループ全体で評価すべきとした上で、「公平な競争環境を確保するため」として、異免許人の間でのキャリアアグリゲーション(CA)導入を牽制していました。

なお、もしグループ内での共同利用が認められた場合、おそらくソフトバンクはドコモの危惧通り、イー・モバイル(6月からはワイモバイル)のLTEと自社のLTEを用いたキャリアアグリゲーションを導入するとみられるほか、KDDI傘下のUQコミュニケーションズなども、普及が進まず電波が余っている「地域WiMAX」の周波数帯などに手を付ける可能性も考えられます。

電波の割り当て状況を踏まえた上で「携帯各社はグループの電波資産をフル活用したサービスで勝負を仕掛ける時代へと突入しており、それぞれの会社単独に対する割り当て状況で公平・不公平を論じるべきではなく、グループ全体で比較するのが適当」というコラムを昨年7月にBUZZAP!でお届けしましたが、ようやく実現することになりそうです。

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